あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

おにぎりスタッバー【感想】

 

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)
 

 2020年9月11日読了。

あらすじ

世界を巻き込む、自意識と恋。
中萱梓。愛称アズ。見た目も成績も地味なのに「なんか援交だか売春だかをやっているらしい」という噂によって、クラス全員に避けられている。彼女があの時男を連れ込んで、俺が台所にいて、まあいわゆる修羅場になったせいで、魔法少女やらおにぎりやらが出てくる奇怪な事件が始まったんだが、そんなのは些細な話だ。俺が誰かも気にしなくていい。だけどどうか彼女の話を聞いてやってくれ。
ノンストップで突き抜ける、新世代の青春エンタメ。

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321610000475/

 

 

感想

 ページ開いた瞬間「うおっ」ってなりました。何故って会話文を除いてほとんど改行がないんですよね。そのせいで1ページの文字密度がエグい*1。一方で語り口は女子高生の口語体。それが延々最後まで続くわけです。あと場面転換がシームレスなのにも難儀しました。多分わざと場所とか時間が移り変わる地点を曖昧にしてるっぽくて、ぬるぬるぬるぬる話が進むので、読んでる途中でなかなか区切りを付けづらかったです。それでいて別に読みづらいわけではないんですよね。器用な文章を書く人だなぁと感心しました。

 ストーリーもなかなか癖が強い。読んだ人みんなタイトルそういう意味かよ!!!って絶対叫ぶはず。ググるまでstabの意味を知らなかったことは秘密。衝撃的なシーンはいくつかあったんですが、特に主人公(ヒロイン?)の正体(ネタバレにつき反転)にはマジで度肝を抜かれました。でも別に最初から嘘はついてないだよな~~~~これが。文章表現とか世界観とかは独特な一方で、物語の本質というとやや大仰ですが、ストーリーの軸自体は割と等身大というか、きちんと青春なんですよね。事件を通して交遊が広がって、恋をして、という。その人間関係の広がりもなあなあというかふわふわしてるというか、そこらへん実に現代の女子高生っぽい(誰目線だという話ですが)。

 今でこそあれとかこれの存在があるので奇作とまでは言いがたいですが、エンタメ性とはまた違った意味で面白い作品です。一応続編があるみたいなのでそっちも機会があれば読みたいですね。

*1:だからこそラストの演出が活きるわけですが