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竜と祭礼2 ―伝承する魔女―【感想】

 

竜と祭礼2 ―伝承する魔女― (GA文庫)

竜と祭礼2 ―伝承する魔女― (GA文庫)

 

 2020年9月18日読了。

あらすじ

おまえは初めて作った杖を憶えているか。

王都の護りの要「杖壁」が何者かに解かれた。魔法杖職人見習いであるイクスは、姉弟子のラユマタに半ば押し付けられるかたちでその犯人
の調査に臨むことになる。
調査の協力者は、竜の杖を持つユーイと同級生のノバ。わずかな手がかりをもとに調査を進めていくうちに、3人はとある村にたどりつく。
その村で自らの出生を知るイクス。「善い」杖を携え、生き方に迷うユーイ。そして、村外れの森に住むという不死の魔女。各者の思惑が交錯
するなか、村の収穫祭で明かされる真実とは……。
竜が消えても、物語は続く。竜の魔法が残されたこの世界で――。杖職人たちの物語、待望の第2弾。

 出典:https://www.sbcr.jp/product/4815603977/

 

 

感想

 物語全体を覆う独特の静謐な雰囲気は引き続き好ましく思いますが、やはり描写が淡泊なせいか、前巻より説明不足の感が否めませんでした。前巻が「竜の心臓を探す」という目的で終始一貫していたのに対し、今巻ではまず杖壁が解かれたことが明らかになり、その過程で魔女の伝承が浮上し、さらにはイクスの出生のルーツのも関連するらしいとわかって……というように目的や過程がやや複雑になっているので、そのせいかもしれません。お前の読解力の問題だと言われれば返す言葉もありませんが。

 物語としては、これも前巻と同じくビターな感じなんですよね。イクスの出生にしろ、明らかになってあまり気持ちの良いものではない。でも、全く温かみのない話かと言えばそうでもない。この辺のさじ加減が絶妙だと思います。

 キャラクターの掘り下げは、シリーズを通してのんびりやっていく構えのようで、まだまだ底の知れないところがあるイクスとユーイが今後どんな顔を見せてくれるのか楽しみですね。個人的にはこの作者は意地でも二人をくっつけたりしなさそうな気がしてますが……。