あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

異修羅III 絶息無声禍【感想】

 

異修羅III 絶息無声禍 (電撃の新文芸)

異修羅III 絶息無声禍 (電撃の新文芸)

  • 作者:珪素
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 単行本
 

 2020年12月8日読了。

 

あらすじ

全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。十六修羅の闘争がついに始まる。

全生命を脅かした“本物の魔王”、リチア新公国が火蓋を切った新魔王戦争、微塵嵐の進行に乗じた旧王国主義者の反乱。全てが終わった。
長く続いた恐怖の時代から、世界は大きく変わろうとしている。新たな時代の象徴となる“本物の勇者”の称号を我がものとするため、世界最大の都市、黄都に修羅達が集う。
――今、修羅の名は十六名。
逸脱の修羅達が武力、智力、権力の全てを行使し、覇を競う六合上覧がついに幕を開く。
全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。

出典:https://dengekibunko.jp/product/ishura/322002000160.html

 

 

感想

 結論から言うと、これまでで一番面白かったです。いよいよ勇者を決める六合上覧の試合が始まったというだけでなく、「灰髪の少年」の策謀パートとか”本物の魔王”の姿が描写されたりとかでがっつり話が動いたからでしょうね。あとまぁ当然キャラが退場するにしても、その巻でぽっと出てきたキャラが退場するよりこれまで描写が積み上げられてきたキャラが退場する方が(言い方は悪いですが)盛り上がりますしね。

 本巻の白眉はやはり試合後のハルゲントでしょう。描写としてはかなりあっさりめだったんですが、彼の心境は察するに余りあります。

「誰かアルスを引き上げてくれ! 誰か……! アルスなんだ! お、俺の……俺の友達なんだ! 誰か! 誰か……! 誰か……!」(p.431,ネタバレにつき反転)

 意図的に誘導しているのかどうかわかりませんが、修羅と対比されている弱者に分類されるキャラの方がやはり共感しやすいですね。1巻のユノもそうでした。

 密林のレビューとか読んでるとWeb版から削られたところとかもあったみたいで、そこが不満だった人もいたようですが、個人的には以前よりも冗長さが低減されて、テンポが改善されていたと思います。戦記物とも群像劇とも言いがたいのですが、それらに近いエンタメ作品として、確実に面白くなっていっているのではないでしょうか。