デリバリールーム【感想】
2020年12月18日読了。
あらすじ
儘宮宮子のもとに一通の招待状が届いた。書かれていたのは―ー
・参加費50万円
・幸せで安全な出産と、愛する我が子の輝かしい未来を獲得する未曽有のチャンスを進呈
・デリバリールームへの入室が必須尋常ではない申し出に困惑しつつも、宮子はこの招待を受けることにする。それぞれの事情を抱えた妊婦5人がそこに集った。一体何が始まるのか? そして誰に安産の女神は微笑むのか!?
感想
西尾維新の単巻完結作品。正直なところ『ヴェールドマン仮説』がちょっとアレだったのであんまり期待していなかったんですが、それにしても、うーん……。まぁ『ヴェールドマン~』よりは断然面白いです。
中学生にして妊娠してしまった主人公が「幸せで安全な出産」をかけて他の妊婦と脱出ゲームに挑戦したり妊婦同士で心理戦をしたりする、という内容で、要所要所で衝撃の真実的な要素っぽいものが明かされたりとか、トンデモゲームに主人公が機転を利かせて切り抜けたりとか、まぁ概ねいつも通りの西尾維新です。
主人公の名前、「宮子」がひっくり返して「子宮」になる、みたいな言葉遊びもいつも通り。こういう細かいところのセンスは結構好きで魅力的だと思うんですが、肝心のメインストーリーの方は大満足というわけにはいきませんでした。決してつまらないわけではないですが、まず妊婦達が挑戦させられるゲームの突破方法が個人的には納得のいかないものが多く*1、妊婦達の秘められた過去も「そ、そう……」以外に特に感想も浮かばず*2、黒幕の正体もリアリティと荒唐無稽の狭間ギリギリって感じでそれほど興奮せず……。妊婦でデスゲームというぶっ飛んだ着想自体は非常に魅力的なんですが、それを物語に十分活かせてないという印象を受けました。世の中には妊婦をぶっ〇してるラノベもあるんだし、もうちょっと冒険してみても良いような気がしました。