あすはひのきになろう

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継母の連れ子が元カノだった5 あなたはこの世にただ一人【感想】

 

2021年6月2日読了。

 

あらすじ

「東頭さんが、水斗の彼女になっちゃった」!? 純真な片思いの行方は――
親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
結女が気持ちを決めたあの夏祭り以降、余計にお互いが気になる日々で――。
そんな夏休みも終盤、いつも通り水斗の部屋に入り浸っていたいさなは、水斗とのじゃれ合いを結女の母に見られてしまい、
「東頭さんが、水斗の彼女になっちゃった」
いさな=水斗の元カノという勘違いが、『今カノ』へとランクアップし!?
さらに、いさなの母には結婚しろとまで言われ、結女が攻めあぐねるなか着々と外堀は埋まっていく!
そして、いさなと水斗の噂は、新学期の高校にも伝わって……。
純真健気な片想いと、再び萌ゆる初恋の行方は――!? 

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321911000109/

 

 

感想

 今巻はいさな回。前巻かましといてヘタレるの、そういうとこやぞメインヒロイン。

『友達なんで必要としなくても、一人で強く生きていけるようになりたかった。だって、そのほうがカッコいいじゃないですか。比企谷八幡みたいです。綾小路清隆みたいです。司波達也みたいです。最強の主人公みたいです。誰だってできるなら、そういう風に生きてみたいじゃないですか』

「……………………」

『でも、わたしにはできません。できないんですよ。わたしは変な子なんかじゃありません。普通の子でもありません。ただの、空気が読めない奴です。それは希少でも貴重でもないんです。単に、能力が足りていないだけなんです――隠された実力なんで何もない、ただの単なる落ちこぼれなんです』(p.265) 

 オタクには刺さるところの多い言葉なんじゃないでしょうか。こういう社会性というか、人とほどよい距離感を保ちつつ生きていく能力に欠ける人って、他に何か人を惹きつける強い魅力がない限り、やんわりとコミュニティから排除されていくんですよね。いさなはまさにその例だったわけですが、そこに水斗という「親友」が現れた。ありのままの彼女を受け入れつつ、世間とのズレを認識しうる濾過装置みたいな彼の存在は、そりゃ彼女にとっては失いたくないわけで、当然これまでの関係性を壊すリスクがあるのに両思いになろうなんて発想するわけねぇよなっていう。

 ちなみに、あとがきによれば、終盤の展開は一旦完成した後で変わったそうですが、めちゃくちゃ英断だったと思います。最初のオチは、確かに王道でわかりやすいですが、やっぱりどっちのキャラにもそぐわないというか、違う違う、そうじゃない感があって、やっぱり二人の関係性はこれくらい互いに抜けてるところがあってこそかな、みたいな。

 でもここまでの流れ、明らかに結女よりいさなの方が物語のキーパーソンくさいんだよな……。ポンコツヒロインさん……。