キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~【感想】
2021年6月18日読了。
あらすじ
第23回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作 待望の続編!
第23回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作 待望の続編!火事で家が燃え、嗄井戸が住む銀塩荘の一階に引っ越した奈緒崎は、嗄井戸の部屋に入り浸る日々を過ごしていた。
夏休みが終わり、大学に赴いた奈緒崎は同級生にかけられた『スタンド・バイ・ミー』窃盗容疑を晴らすため、嗄井戸のもとへ向かうが――。
実力派女優の家に残されたピンク色の足跡、中古ビデオ屋の査定リストに潜む謎……圧倒的な映画知識で不可解な事件を解決してみせる引きこもりの秀才・嗄井戸。その謎解きの中には彼自身の過去が隠されていて――?!
感想
前巻よりずっと筆致はこなれていますし、主人公の直情的な性格も(あくまでも前巻と比べれば、ですが)それほど気になりません。映画とミステリの結びつけ方もストーリーによくなじむようになっていると感じました。ただ、やっぱり嗄井戸の過去だけやたら他の事件と比べて浮いてるんですよね、重すぎる。あと、急に「終幕だ」とかいう謎の決め台詞言うようになったけど、そんなの前巻なかったですよね?
第一話「再演奇縁のオーバーラップ」(『スタンド・バイ・ミー』)
同じ映画であっても複数のバージョンが存在する、というのが鍵になる話でした。普通に良い話だったんだけど、主人公を「良い奴」として描こうとしてるな~みたいに見てしまった。
第二話「自縄自縛のパステルステップ」(『アーティスト』)
舞台女優と監督のすれ違いの話。これまではあんまり当該映画を見ているかどうかはさほど気にならなかったんですが*1、これはちょっと映画の内容知ってた方が楽しめてたかなぁと思いました。
第三話「正誤判定のトレジャーハント」(『バグダッド・カフェ』)
映画のDVDに隠しコマンドなんてものがあるとは知らなかったです。ゲームとかはイメージあるんですけどね。これも含めて3編とも結構ハッピーエンド寄りの話が大きい中、やっぱり嗄井戸の過去にまつわるオチだけがやたら重いんですが、彼の過去を解決して次巻で完結ですかね。
*1:というかほぼ見たことあるやつなかった