あすはひのきになろう

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レイの世界 ―Re:I― Another World Tour【感想】

 

2021年7月18日読了。

 

あらすじ

キノの旅』の時雨沢恵一&黒星紅白が贈る新シリーズ

ユキノ・レイは有栖川(ありすがわ)芸能事務所に所属する15歳の女の子。
歌手と女優を目指し、日々努力している彼女のもとに、
マネージャーの因幡が持ってくる仕事は、いつも何かがおかしい。

彼女のためにマネージャーの因幡(いなば)が取ってきた初めての仕事は、小さな町の広場にある特設ステージで歌う仕事だった。レイは精一杯に歌い、町の人々もとても楽しんでくれた。しかし、観客達の興奮と歓声がその日最高潮に達した瞬間――。(「初仕事の思い出 ―Memories Lost―」)他、全6話を収録。

出典:https://twofive-iiv.jp/works/reinosekai/

 

 

感想

 ジェネリックキノの旅』。この短さとこの内容でこのお値段は強気ですね。発行元はドワンゴで、IIVなるオリジナルIPブランドのレーベルから出ています。本作の作者である時雨沢恵一だけでなく、『デュラララ!!』の成田良悟や『ロウきゅーぶ!』の蒼山サグも所属しているそうで、他にもVtuberのプロデュースとか色々やってるみたい。詳しくは公式サイトやこのニュース記事を参照。本作も電子書籍として先行配信されているものが書籍になったもの。もともと紙であんまり売ろうと思ってないのか? ちなみにイラストを手がける黒星紅白のキャラクターデザインが先行して存在し、それをきっかけに書かれたそう。

 で、肝心の内容ですが、ネタバレを避けるとアイドルもので『キノの旅』みたいな雰囲気の話って感じで、大きな違いはどうも伏線というか後につながる謎みたいなのがある連作短編形式であるという点くらい。そこがどう今後の面白さに影響してくるかは現時点ではわかりませんが、1巻の時点で大満足とは言えませんでした。1話がそれぞれ30ページ前後と非常に短く、その中で「導入→アイドルのお仕事→種明かし」のパターンで展開するため、非常にワンパターン感が強いです。タネとなる着想自体は面白いものがあっても、「なんかよくわかんない不思議なアイドルっぽいお仕事をする」→後から「実はね……」と口で説明される、という形式が6度も繰り返されるとさすがに変化が欲しくなります。キャラ付けもいまのところインパクトが弱く、愛着を持てるまでには至りませんでした。長さ的にもおつまみ程度に軽く読み流すには最適ですが、間違っても『キノの旅』に及ぶようなヒット作になり得るとは今のところ思えませんでした。