あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました3【感想】

 

2021年8月9日読了。

 

あらすじ

愛しい人の温もりで幸せいっぱい――超人気・辺境スローライフ第3弾!!
 温暖な地域である辺境ゾルタンにも、冬の寒波がやってきた。「寒い日だからこそ来たくなるような薬でもあればいいのに」リットのそんな提案から、レッドはかつての冒険で得た知識を駆使し新商品の開発に取りかかる。やがて、ゾルタンでは珍しい雪が降り始め、夜の森で雪を眺める二人は肌を寄せ合い暖め合う――「あなたの身体ってあったかいねえ」愛しい人と温もりを分かち合う二人の生活は幸せいっぱい。
一方、"勇者の加護"による衝動から解き放たれる為、ルーティは暗殺者ティセと共に辺境の地・ゾルタンへと向かうのだが・・・・・・!? WEB発大ヒット作、3万字超大幅加筆による新規書き下ろしエピソードを収録。加護によって引き離された兄妹、二人の運命が交錯する第3弾!!

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321801000087/

 

 

感想

 前巻よりは格段にスローライフ描写は増えました。イチャイチャシーンも増量されているような? が、やはりストーリー展開には勇者ご一行(もう勇者自身が離脱してしまいましたが)の事情に巻き込まれないわけにはいかなさそう。

(前略)そうした世界の求める姿と、自身の求める生き方が一致しない時、この世界でどう生きるかというのがこの作品の重要なテーマです。(あとがき、p.290) 

 これを端的に作中世界に落とし込んだ設定が「加護」ということでしょう。「やりたいこと」と「やるべきこと」のどちらを選ぶかとか、「適正」と「希望」のどっちを優先すべきかとか、そんな感じで言い換えれば現実世界にも通じるテーマになりそうです。これに「自身の求める生き方」を肯定するのが現状の主人公の考え方ですが、こと「勇者」となれば、簡単にその役割を放棄することも難しい。救える力があるのに、それを行使しないことは許されるのか? 何より自分がそれで良いと思えるのか? 「幕間」で描かれた別世界線のストーリーも印象的でした*1。タイトル的にも日常要素が削られてしまうのは本末転倒ですが、シリアスなストーリー展開にも期待したいですね。今んとこ、敵役になりそうなアランの小物臭がすごいところと、若干元パーティメンバーが過剰に主人公を持ち上げまくって褒め殺しにしかけているところが不安っちゃ不安ですが……。

*1:主人公、本来ならそういうポジションだったのか……