あすはひのきになろう

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恋は双子で割り切れない【感想】

 

2021年8月17日読了。

 

あらすじ

いつまでも、ただの幼なじみじゃ居られない。初恋こじらせ系双子ラブコメ

 我が家が神宮寺家の隣に引っ越してきたのは僕が六歳の頃。それから高校一年の現在に至るまで両家両親共々仲が良く、そこの双子姉妹とは家族同然で一緒に育った親友だった。
 見た目ボーイッシュで中身乙女な姉・琉実と、外面カワイイ本性地雷なサブカルオタの妹・那織。そして性格対照の美人姉妹に挟まれてまんざらでもない、僕こと白崎純。いつからか芽生えた恋心を抱えてはいても、特定の関係を持つでもなく交流は続いていたのだけれど――。
「わたしと付き合ってみない? お試しみたいな感じでどう?」
 ――琉実が発したこの一言が、やがて僕達を妙な三角関係へと導いていく。
 初恋こじらせ系双子ラブコメ開幕!

出典:https://dengekibunko.jp/product/futakire/322012000010.html

 

 

感想

 作品は作者の趣味嗜好を開陳する場ではないと思うのですが……。商業作品でない同人の場でやるなら当然咎められようもありませんし、商業作品であっても、それが作品の面白さにつながっているのなら良いとは思うのですが、本作のレベルで「同じ趣味を持つ人の間でしか伝わらないネタ」ばかり披露されると肝心のストーリーが良くても、それだけで読む気力を削がれますサブカルにハマったイタい大学生の日記読んでるみたい。「同じ趣味を持つ人」にだけ売れれば良いならそれで良いんでしょうが……。ハマれれば強いんでしょうが、個人的には続刊購入を躊躇するレベルで合いませんでした。三視点から描かれるそれぞれの思いが交錯する展開は良かったんですが、双子の妹の方のキャラが、前述したように息を吐くようにサブカルネタばかり話すのでかなりしんどかったです。それが「これが推理小説であれば、この章立ては解決編になるのだろう。」(p.270)とか語り出すので、もう……って感じ。彼女自身は言葉のトリックで相手を手のひらで上手く転がしたつもりになってご満悦だったのかもしれませんが、姉にも主人公にも不誠実な態度にしか見えませんでした。一方、姉の方は拗らせながらも主人公に対する心情を偽らないところが好印象。主人公と言い争うとことか良かった。ただ、あざといという言葉が当てはまるのはどっちかと言うと妹よりも姉の方な気がします。ストーリー自体は悪くなかっただけに、妹のキャラさえもうちょい何とかなってたらなぁと思わずにはいられません。冒頭で太宰をオマージュしてみるだとか、51は25で割り切れないとか、そういう細かいところに拘泥する前に、素のキャラと物語展開で魅せて欲しいところ。