あすはひのきになろう

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カノジョの妹とキスをした。【感想】

 

2021年8月31日読了。

 

あらすじ

カノジョの生き別れの妹がトツゼン自分の義妹に!?

俺が人生で初めての恋人・晴香と、交際一ヵ月にしてやっと手を繋げた日、親が再婚し晴香そっくりな義妹
が出来た。名前は時雨。似てるのも当然。時雨は家庭事情で晴香と離ればなれになった双子の妹だったのだ。

「情けない声。ホント可愛いなぁ、おにーさん」
「いけない彼氏さんですね。彼女と手を繋いでいる時に双子の妹のことを考えるだなんて」
「顔も体も彼女と同じ妹にドキドキしちゃうのは仕方ない。おにーさんは悪くない。悪くないんですよ」

淡い初恋に忍び込む甘い猛毒(あいじょう)。
奥手な恋人にはとても教えられない、小悪魔で甘えん坊な義妹との甘々”不”純愛ラブコメ――開幕!

出典:https://www.sbcr.jp/product/4815606312/

 

 

感想

 最終盤の展開と表現が見事。そこまででも面白かったですが、タイトル回収に至るまでの流れでさらに一段ギアが上がった感じがありました。ネタバレありで何がすごいと思ったかメモ代わりに書いておくと、主人公アゲの展開に持って行かなかったとこですね。自分は読みながら主人公が相沢から時雨を助けて、時雨が主人公に本格的に惚れる、っていう展開を予想してたんですけど、そうは持って行かずに、ああいう女性の持つ独占欲というか、執着心というか、そういうのにつなげる展開がとても良かった。あとがきでもチラッと書かれてるんですけど、時雨のキスを拒めなかった時点でこの主人公はもうダメダメなんですよね。特に近年のラノベにありがちな「かっこいい主人公像」の真逆を行くこの主人公が今後どうなっていくのか楽しみです(反転ここまで)。また、浮気相手(としか表現のしようがないのでこう言いますが)の設定からして「義理の妹」+「彼女にそっくりな双子の妹」という二重の背徳感を仕込んでいるのがすごいですよね。あと時雨の言葉もチャラ男の言動もなんですが、地味に恋愛テクニック的な描写が他作に比して妙にリアリティがありました。これ作者は若い子とかに取材して書いてるんでしょうか? 全部自分で考えてるんだとしたらそれはそれですごいような怖いような気もしますが。最近めっきり見なくなったフォントサイズいじる芸なんかからは平成のノスタルジィを感じたりしますが、ラノベにありがちなシチュエーションを逆手に取った展開は斬新で、続きが気になる作品でした。