豚のレバーは加熱しろ【感想】
2021年9月10日読了。
あらすじ
転生したら豚だった!美少女にお世話されるなら、こんな冒険も悪くない?
豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!
豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。
ブヒッ! かわいい! 豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の……。
「あの、心の声が聞こえていますが……」
まずい! 欲望がだだ漏れだ!
「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」
え、ちょっ……!?
まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う~ん、豚でいるのも悪くないな?
これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険……のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?さあ魔法もスキルも持たぬブタよ、過酷な運命に囚われた少女を、知恵と機転と嗅覚で救い出せ!
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞作、豚転生ファンタジー!出典:https://dengekibunko.jp/product/butaliver/321910000142.html
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞作品。受賞時の選評はこちら。
感想
上手くまとまった面白い作品でした。主人公が人間以外に転生(転移)するシリーズで、本作は豚になります。豚であることに必然性はないものの、チートも無双も人間化もしないので相対的に他作と差別化されてるんですよね。動物が美少女と旅するっていう基本コンセプトも良かったし、作者がミステリ書きを自負するだけあり、旅の過程で提示された要素を組み上げることで世界観の謎が(サクサクではありますが)明かされるところもパズルのピースが気持ち良くはまる感じがあって良かったです。文章も主人公(≒作者)の謎の理系アピに目をつぶれば、この手のオタク独り語り系作品にしては読みやい方だったと思います。少なくとも、タイトルのキャッチーさ一点賭けにとどまらない面白さはありました。
ただ、1巻でよくまとまっている分、オチからみるこの続きの作り方が吉と出るか凶と出るかには不安も大きいです。