あすはひのきになろう

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クズと天使の二周目生活(セカンドライフ)【感想】

 

2021年9月10日読了。

 

あらすじ

タイムリープで勝ち組人生を目指せ!

――俺の人生は捨て回だ。
雪枝桃也(ゆきえだ・とうや)。三十歳。
仕事はラジオがメインの構成作家。しかし、まったくもって売れておらず、先輩作家や知り合いから振ってもらった仕事で食いつなぐ日々。
かつて同じ番組で仕事をしていた人気声優・神楽屋萌香(かぐらや・もえか)からは忘れられ、家では妹からも冷たくされる桃也だったが、とある飲み会の帰りに工事現場の落下事故に巻き込まれ、鉄骨の下敷きになって命を落としてしまう。
気がつくと何もない空間にいた桃也は、そこで天使のエリィエルと出会い、自らの死が手違いだったことを知る。
「俺は死ぬはずじゃなかったってことなのか?」
「まー、そうなりますね」
「何ヘラヘラしてんだよ! どうしてくれるんだよ!」
「生き返らせます」
「死ぬってのは人間にとって簡単なことじゃ……生き返らせる!?」
救済措置によって過去に戻れることを知った桃也は、渋るエリィエルを丸め込んで10年前に戻してもらうが、過去改変は想像以上の難易度で……。
『芸人ディスティネーション』天津 向×『ガヴリールドロップアウト』うかみのタッグでおくる、勝ち組への再起を懸けた人生やり直しコメディ!!

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09451702

 

 

感想

 お笑い芸人の天津向によるタイムリープやり直しもの。前作『芸人ディスティネーション』は未読。

 天使が憑依するのがおっさんとか、プロデューサーがやたらしょうもないギャグを連発するとか、ところどころ笑いの取り方が本職芸人っぽいな、と思うのは先入観のせいでしょうか。特にエリスとの掛け合いとかは漫才のボケとツッコミっぽいテンポな気もします。

 恋愛禁止とか「たらればノート」とか、設定は物語の要請から逆算して作られている印象ですが、キャラごとに口調を特徴付けたり、しっかりとした起承転結を作ったりと、いわゆるラノベのセオリー的なあれこれに忠実で、テンポも良いので読みやすくはあります。飲み会のシーンはヘイト管理ミスってない?とヒヤヒヤしましたが、許容範囲内でしょう。キャラもそれぞれ立ち位置が異なっていてバランスがとれていますし、主人公がラジオの構成作家というのもなかなか馴染みのない職業で面白い。全体として手堅い印象ですが、欲を言えばもう一押し読者を惹きつける要素が欲しかった気もします。今巻の時点では小さくまとまってしまっている印象は拭いきれません。

 5巻まで出てるようですが、完結しないままそこで刊行が止まっているようで、そうなるとどこまで続きを読もうか迷うところです。