あすはひのきになろう

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さよなら異世界、またきて明日 旅する絵筆とバックパック30【感想】

 

2021年9月19日読了。

 

あらすじ

旅に出よう、君を助手席に乗せて。この滅びかけた異世界で。

滅びかけた異世界に迷い込んだケースケは、ハーフエルフの少女・ニトと出会う。彼女の母親が遺した手帳に描かれた“黄金の海原”を探し、二人は辛うじて生き残った人々たちとの出会いと別れを重ねてゆくのだが――。

出典:https://fantasiabunko.jp/product/202002sayomata/321910000998.html

 

 

感想

 決して悪くはないのですが、こちらの想定を超えてはこなかったかな……というのが正直なところです。

 ポストアポカリプスど真ん中といった雰囲気で、既に滅びかけた異世界に飛ばされた主人公が、偶然同行することになった少女とともに様々な人々に出会っていくお話。時折詩的ですが、過度に気取りすぎない一人称文体は稀有なもので、作者の強い武器だと思います。連作短編形式で語られるエピソードも、普遍的すぎるような気はしますが、時代に左右されない面白さを持っているとも言えます。しかしながら、読者を作品世界に深く引き込む強いフック、決め手に欠ける印象は否めません。『少女終末旅行』とか『キノの旅』とか『魔女の旅々』とか部分的に類似している作品がちらついてしまったことも原因かもしれません。どこか物足りないもどかしさが残る作品でした。