あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

はじめての『超』恋愛工学 Lesson1.女子大生に師事した僕が彼女の妹(※地雷系)を攻略してみた【感想】

 

2021年9月28日読了。

 

あらすじ

心理学に基づいた《恋愛工学》で地雷系女子を攻略せよ!?

 なんの取り柄もない高校生の那央は、反比例のグラフの如く女子と交わることのない青春を送っていた。
 もちろん、初出勤で着替えを覗いてしまった(注:わざとではない)バイト先の地雷系女子・藍夏と仲良くなれるはずもない……そのはずだった。
「ねぇ、藍夏と付き合ってくれない? そのために必要になってくる知識や情報は、私が惜しみなく提供する」
 バイト帰りに藍夏の姉・櫻子に呼び止められた那央は、どういうわけか姉から妹を売り込まれる異常な事態に――!?
 恋愛経験などマイナス方向に振り切っている那央のため、藍夏を落とす恋愛メソッドを教えてくれるそうだけど。
「あっ、でもセックスしようとしたら、君のちんちんはちょん切るけど」
 ……What do you mean?

出典:https://dengekibunko.jp/product/322005000032.html

 

 

感想

 男子校に通う主人公が、バイト先で出会った同僚の女の子の姉から恋愛テクニックを教わりつつ妹と付き合うよう誘導されていく、というお話。いまいちハマりきれなかったです。あくの強い姉のキャラのせいで、メインヒロインであるはずの妹が食われてしまっているのはキャラ造形上の大きな問題でしょう。主人公とヒロインの出会いが歩きスマホしてて衝突ってのも、もうちょい何とかならんか……と思っちゃいますが、そもそも妹自身のキャラが「地雷系」という言葉から連想されるイメージからは離れており*1、タイトルに掲げるほどキーワードとして機能しているかは疑問です。妹と主人公との間に起こるイベントが姉との間に起こるものと比べてインパクトに欠け、主人公自身も卑屈であまり魅力的に見えないために、いつの間にか妹が好意的になっているように思われ、「地雷系」というよりは典型的なちょろインくさい。また、章の間に挟まれる「櫻子先生の超恋愛工学概論」なるコーナーが、仮想読者の童貞いじり、突然の作者の自分語りなどいちいち滑っているように感じられ、本編においても安直な下ネタで笑いを取ろうという姿勢は好ましくありません。いずれもそれひとつで致命的な欠点ではありませんが、積み重なってしまったことで全体の印象が悪くなってしまった、というところはあると思います。

 指南役となる女性から主人公が人間関係を構築する上での課題を与えられ、それをクリアしていくという大筋や、その過程で主人公がテクニックを使った人付き合いにおける「誠実さ」を問題視する展開は、『弱キャラ友崎くん』を想起させます。もちろん、細かな差異はありますが*2、既読であればちらつくところはあり、あちらより気軽に読めるところはまぁ良いところなのかもしれません。強引ながら起承転結はしっかりありますし、サブキャラもきちんとキャラが立っていたのも良かった*3です。が、続刊までチェックするかは微妙です。

*1:そもそも「地雷系」という判断の根拠が服装のみってのもどうなん?

*2:『友崎くん』のゴールは「リア充になる」ことで、恋愛による成功体験はその一環に過ぎない

*3:その分メインヒロインが埋没してしまった気もしますが……