あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

卒業タイムリミット【感想】

 

2021年9月29日読了。

 

あらすじ

私立高校で人気女性教師が誘拐され、72 時間後に始末するとネット動画で予告された。3年生の黒川のもとに「誘拐の謎を解け。真相は君たちにしか分からない」と挑戦状が届く。仲間になったのは、体育会系男子、学年一の美女、そして幼馴染みの優等生。4人は事件を解決できるのか? 『このミス』大賞出身作家が送る青春の光と影を描いたタイムリミット・ミステリ!

出典:https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24227-0.html?c=30198&o=&

 

 

感想

 タイムリミットが示された誘拐事件のわりにはいまいち緊迫感に欠け、事件の真相そのものもやや無理筋に見えます。また、「告白カード」を使った読者に対する思考の誘導が上手く、振りも丁寧なため、自分のような勘の鈍い読者でも先読みがしやすく、犯人の目星は容易に付けることが出来ます。恐らく肝となるのは並行して生じるもう一つの謎の方で、そちらの方が伏線の回収も丁寧で、ストーリーとしても面白かったです。作中に様々な教師像が提示されているのも興味深い。奨学金のくだりは、読後感に爽やかさを求めすぎている感じがして、個人的にはあんまり必要性を感じなかったり。ただ、こういう話は現役中高生が読んでこそ、より作品の魅力が引き出されるのではないかと思うので、そういう意味で言えば自分にはちょっと読むのが遅すぎたかもしれません。