あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT【感想】

 

2021年10月11日読了。

 

あらすじ

TVアニメ化作品、最新刊!

紙越空魚と仁科鳥子が裏世界で初めて出逢ってから、もうすぐ1年。大学でゼミに入った空魚は、謎の寺生まれの青年と出逢い――?

出典:https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014789/

 

 

感想

 シリーズ初の長編エピソード。今回の題材はサブタイの通り「寺生まれのTさん」。何となく雰囲気しか知らなかったんですけど、もともとはギャグとして生み出された逸話なんですね。

 開幕空魚が記憶喪失になっていたのにはびっくりしました。潤巳るなとか、裏世界から連れ帰ってきた謎の女の子とか、若干放置され気味だった人たちがきちんと話に絡んできて良かったです。ナチュラルに会話が噛み合ってないのに登場人物は違和感を覚えず平然としている、みたいな読者しか気づくことのできない恐怖演出が(それこそネットロアとかでも常道だとは思いますが)良かったですね。裏世界とのつながりを断ち切ろうとするTさんと、もちろんそれに抵抗する空魚&鳥子(&DS研)というはっきりした対決の構図を軸に進んでいくので、いつもよりエンタメ感が強かった気もします。まぁでもいっつも裏世界の存在とはバトルしてるか……。もともとがコミカルな逸話だからか、なんか突然ジェットコースターやお化け屋敷が出てきたり、「それは違うやろ」みたいなところもあって面白かったですね。空魚が鳥子だけでなく、茜理にも徐々に心を許そうとしているのも印象的でした。空魚と鳥子、二人の関係性の変化はもちろんですが、両者がそれぞれどのように内面を変化させていくか、というところにも注目していきたいです。