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魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 4/甘岸久弥(MFブックス)【感想】

 

2022年9月13日読了。

 

あらすじ

ロセッティ商会、急発展! そしてダリヤに試練が訪れる!?
商会を立ち上げてからも、大好きな魔導具づくりに邁進する女性魔導具師のダリヤ。
ダリヤのロセッティ商会は、魔物討伐部隊との取引により思いがけぬスピードで王城へ出入りするまでに。軽量小型化した『遠征用コンロ』も新たに魔物討伐部隊への導入が検討され、これで遠征時の騎士達の食事環境が良くなれば、とダリヤはさらに奮起する。
しかし急発展する若手商会、しかも商会長は爵位を持たない庶民となれば、貴族から向けられる視線は好意的なものばかりでなく――。
「『飼い猫』がどこまでやれるかね?」「お言葉を撤回いただきたく思います」
商会長として、魔導具師として、貴族相手にダリヤ・ロセッティはその名を示す!
新たな商材、そして広がる新たな販路……『人工魔剣』の制作にもついに進展が!?
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、波乱の第四弾、開幕!

出典:https://mfbooks.jp/product/dariya/321910001050.html

 

 

感想

 ストーリー自体は良かったんだけど、そろそろヴォルフの彼氏面ムーブがキツい。以前からその傾向はあったけど、ダリヤに異様に過保護だし、今回は粗相をした友人をボコボコにするくらいブチ切れるし、そのくせ「いや僕は彼女に相応しくないから……」みたいな逃げムーブするし……。彼氏でもないのにめちゃくちゃ執着してるの、男の自分でも結構キモいと思ったんですが、受け入れられてるもんなんですかねこれ?

 で、今巻は貴族のしがらみとかそういうお話がメイン。イヴァーノが服飾ギルドのギルド長とやりあったり、ダリヤが王城の財務部長とやりあったりします。特に後者の王城でのプレゼンのエピソードは割と今までで一番盛り上がった気がしていて、魔導具作りの過程において敵役が介在する余地がほとんどなかった分、ダリヤが誰かと対立する構図の面白さもあったし、解決策として「ブランディング」という概念を持ち込んだのも面白かった。基本的に前世の便利技術をそのまま今世でも形にしよう、というお話なので、この世界にない概念を持ち込んで打開を図るのが新鮮に感じました。でもこういうのも類似作品だと定番だったりするのかな。敵役の方もかなり厚くフォローがあって、その点も良かったと思います。

 あっという間にダリヤも爵位を得られそうですが、今回の番外編で示唆されたとおり、優れた技術は常に人を傷つけたり、悪用されたりするリスクがあります。貴族になるダリヤ自身も今後そうしたしがらみに否応なく巻き込まれそうで、相変わらずぼかされるダリヤの母の謎とともに、そうした展開も気になりますね。