悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~/七夕さとり(カドカワBOOKS)【感想】
2023年1月3日読了。
あらすじ
魔王(ラスボス)よりも強いけど、平穏に暮らしたいんです。
RPG系乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生した私。だが実はこのキャラは、本編終了後に敵として登場する裏ボスで――つまり超絶ハイスペック! 調子に乗って鍛えた結果、レベル99に到達してしまい……!?出典:https://kadokawabooks.jp/product/akuyakureijou-level99/321901000608.html
感想
面白かったです。ここ最近読んだ作品の中ではかなり波長が合ったと思います。
言ってしまえば展開は悪役令嬢もののテンプレと、俺TUEEE系のテンプレを重ね合わせただけなんですが、これを上手くコメディに昇華しています。淡々としながらもちょいちょい毒を吐く主人公の語り口もツボだったし、パトリックが登場してからは主人公に振り回される彼を自然と応援する気持ちになってました。主人公は常人にはできないパワーレベリングでレベル完ストまで持っていってるのですが、パトリックがツッコミ役にまわることで、主人公のそのズレたところが嫌みなく滑稽さにつながっていたと思います。アニメしか見てないけど『魔王学院の不適合者』とか『慎重勇者』に近い感覚。恋愛要素をグズグズ引っ張らないのも好ましかったですね。公爵令嬢の娘も良いキャラしてたし、主人公に近いキャラの造形はかなり良かったと思います。一方で王子と本来のゲームの主人公ちゃん側は典型的な自分本位で盲目的な悪役で、雑なキャラづけでしたが……。
ストーリーも魔王を倒しに行く王道展開ではあるんだけど、魔王側の事情とか主人公の葛藤とか自身の境遇や出会いをきっかけに目標ができる展開とか、なかなか悪くなかったです。
これも例によってコミカライズの方が跳ねてるみたいなので、そっちも読んでみたいかも。アニメ化しないかなぁ……。