どうか俺を放っておいてくれ2 なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる/相崎壁際(GA文庫)【感想】
2021年12月14日読了。
あらすじ
七村くん、聞いてる?
ぼっち主人公とリア充ヒロインたちが送る、最悪で最高な高校2周目ラブコメ第二弾!「七村くんが他人事みたいな顔してるのも腹立つわね」
モデル顔負けの美人・花見辻空とともに過去に戻り、始まった二度目の高校生活も早二か月。
俺の残念で快適なぼっち生活を気に入らず、相変わらず脱ぼっちの手伝いをしようとお節介を焼く花見辻との迷惑ながらも心地いいスクールライフを送る中、今度はリア充グループに属するギャルの星ヶ崎瑠璃が俺のぼっち生活を妨げようとしてきて――!?
「七村はさ、私に話しかけられたら迷惑?」
もうお前ら全員……どうか俺を放っておいてくれ!
最悪で最高、そして残念までに眩しい高校2周目ラブコメ、第二弾!
感想
よくまとまってるんだけど、10年代ラノベの再生産にとどまってしまっているのが惜しいなぁと思ってしまいます。
捻くれ主人公の一人語りは結構好きだし、主人公の自己犠牲的解決から脱し、変化しようとするヒロインには好感を持ちます。この点は、先行作品であると言える『俺ガイル』をある意味、早い段階で乗り越えていると言えるのではないかと思います。
タイムリープというスケール感のデカい事象に巻き込まれていながら、悩みが「前回助けなかったヒロインに対する後悔」とか「前回以上に懐かれた友人の学校生活を歪めてしまった心配」みたいな割と個人的というか、ミクロだけどリアルで等身大な問題を描いているのも好ましいです。
この路線のままじっくり取り組んでもそれなりの良作になるだろうという期待もある一方で、このままでは10年代の先行作品の焼き直しにとどまり、それらに比肩することは難しいのではないかという懸念もあります。今巻で得られた友人関係についての結論は、普遍的かつ価値あるもので、全く同意するところではありますが、新規性やオリジナリティに欠けるように映ります。今巻もよく楽しめた一方で、この方向性のまま小さくまとまって欲しくないなぁという思いもあります。次巻の展開を注視したいところです。
余談。今巻であとがきがなかったので、作者のTwitterを見に行ったところ、ブログであとがきを書かれているのを発見しました。
で、以下の1巻発売後の記事も読んだんですが、
本作の主人公と同じく、作者自身もラブコメラノベが好きみたいで、いいな~と思いました。好きだからこそ引っ張られてしまうみたいなこともあると思うので一概に作品にとって良い悪いは言えませんが、10年代ラブコメラノベを摂取した者として、個人的には応援したくなりました。