あすはひのきになろう

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ブービージョッキー!!/有丈ほえる(GA文庫)【感想】

 

2022年2月6日読了。

 

あらすじ

「わたしの馬に乗ってくれますか?」
若き騎手の前に現れたのは――超絶美女の馬主だった!?
萌えて燃える、熱狂必至の競馬青春コメディ!

19歳の若さで日本最高峰の重賞競走・日本ダービーを制した風早颯太。
しかしそんな栄光も今は昔。勝てなくなり、ブービージョッキーと揶揄される颯太の前に現れたのは――
「この子に乗ってくれませんか?」
可憐なサラブレッドを連れた、超セレブなお姉さんだった!?
「わたしが下半身を管理します!」
「トレーニングの話ですよね!?」
美女馬主・美作聖来&外見はお姫様なのに中身は怪獣の超良血馬・セイライッシキ。ふたりのセイラに翻弄されながらも、若き騎手は見失っていた情熱を取り戻していく。
「あなたのために勝ってみせます」
萌えて燃える、熱狂必至の競馬青春コメディ。各馬一斉にスタート!

出典:https://ga.sbcr.jp/product/9784815614393/

 

 

第13回GA文庫大賞銀賞受賞作品。選評は以下の通り。

かつて一度は栄光を掴んだものの、不調からすっかり勝てなくなってしまった若きジョッキーが主人公。そんな青年の元に突然美女の馬主が現れて……というラブコメ風味の青春ストーリー。競馬という難しい題材をわかりやすく、面白く、そして何より熱く描けていたところが魅力的でした。
競馬の素人でも話がわかるように説明は十分なされつつ、それが話の邪魔をしていない。解説のスマートさやバランス感覚はとても目を惹くものがありました。ヒロインとの関係性の進展や、挫折を乗り越えてからのライバルとの一騎打ちなど、「読みたい」ポイントがしっかり押さえられて、全体構成がしっかりと練りこまれているのを感じます。
セレブ美女の馬主と、一緒に働く厩務員の女の子と、そして外せない相棒の馬と。三人(?)の美少女に振り回されながらも前に進んでいく主人公に思わず声援を送りたくなる、爽やかに仕上げられた作品でした。

出典:https://ga.sbcr.jp/novel/taisyo/13/index.html

 

感想

 あっちこっちで言われてる表現ですが、やはり「競馬版『りゅうおうのおしごと!』」というたとえが最もわかりやすいと思います。とはいえ、これは全く悪い意味ではなくて、むしろ誉め言葉であることは理解していただきたいところ。

 自分の競馬知識はウマ娘由来で詰まるところほぼゼロなのですが、それでもかなり引き込まれました。馬とジョッキーの関係性がしっかり描かれていて、主人公が自身の過去を踏まえてしっかりと自身の乗る馬に向き合う姿が非常に良かった。騎手だけじゃなくて、馬主、厩務員等々競馬という営みに携わる様々な人々にスポットライトを当てているのも良い。全体的なノリもそうなんですが、取材ベースと思われる小ネタの差し挟み方とかヒロインと同居とか下ネタ擦る手つきとかもう本当に『りゅうおう』で、ただそれだけではなく、レースシーンの熱量も同作に比肩する勢いでした。情景が目に浮かぶような具体的なレース描写は、作者の取材と情熱の賜物でしょう。主人公をはじめとする騎手と馬たちがバチバチにぶつかり合う様がめちゃくちゃ熱かった

 幼い頃の約束を叶えに来たヒロインや、同期ポジ・先輩ポジのライバルも魅力的だし、今後の話の作りようもいくらでもありそうで、続きが大変楽しみなシリーズになりそうです。