あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

変人のサラダボウル/平坂読(ガガガ文庫)【感想】

 

2021年11月6日読了。

 

あらすじ

異界の麒麟児、混迷の時代に笑顔をお届け!
貧乏探偵、鏑矢惣助が尾行中に出逢ったのは、魔術を操る異世界の皇女サラだった。

なし崩し的にサラとの同居生活を始める惣助だが、サラはあっという間に現代日本に馴染んでいく。
一方、サラに続いて転移してきた女騎士リヴィアは、ホームレスに身をやつしながらも意外と楽しい日々を送る。

前向きにたくましく生きる二人の異世界人の姿は、惣助のほか、鬼畜弁護士、別れさせ工作員、宗教家といったこの地に生きる変わり者達にも影響を与えていき――。

平坂読×カントクコンビがこの時代に放つ、天下無双の群像喜劇、堂々登場!

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453038

 

 

感想

 『僕は友達が少ない』の平坂読の新作。今度はガガガ文庫から刊行されています。

 十分面白かったのですが、今巻だけでは物足りないという思いも強いです。『〆切前には百合が捗る』でも似たようなことを思ったのですが、どうもシリーズ化前提という側面もあってか、1巻時点では展開をセーブしているような印象を受けます。もっと面白くできるけど、今はまだその時ではない、みたいな。出し惜しみできるような立場の上り詰めたんだから別にいいじゃんという気もしますが、読者としては1巻から全力出してほしいなぁなどと勝手に思ってしまいます。

 群像劇を謳うとおり、惣助&サラサイドとリヴィアサイドで視点が分かれているのですが、ここら辺の読み進めやすさはさすがだと思います。話しのテンポが良いので、飽きずにすらすら読めるし、探偵業のうんちくや小ネタも必要十分量といった感じで、ちょうどいい。ギャグも爆発力はありませんが、掛け合いの良いエッセンスになっていると思います。一方で、一つ一つのエピソード自体はまだまだ弱い印象が否めません。個人的に一番面白かったのは、リヴィアとエセ宗教家の話ですが、どっちかというと今後の展開前提みたいなエピソードですし。ラストの、サラのいた異世界に関するオチ自体はへぇ~となりましたが、逆に言えばそれだけで済んでしまった、とも言えます。

 個人的には、今後の展開前提の、スロースターターな作品という位置づけになりそうです。