小説が書けないアイツに書かせる方法/アサウラ(電撃文庫)【感想】
2022年9月24日読了。
あらすじ
『ベン・トー』のアサウラが贈る淫靡で情熱的なモノカキの物語!
自らの性の悩み――勃起できない事。勃起不全に対する悩みと家族、主にイケてる姉と従順な妹を描いた小説で新人賞を受賞した『月野シズク』こと、月岡零。男子高校生である彼は、内容が内容のために周りには作家である事を隠して活動していたのだが、デビュー作を超える次回作が思いつかず書けずにいた。
悩み続ける彼の前に一之瀬琥珀と名乗る巨乳美女が現れる。そして……
「私の考えた小説を書かなければあなたが月野シズクである事をバラす」と脅迫されてしまうのだった。
彼女の目的がわからず困惑するものの零は従うフリをしてその内容を聞く。
すると今まで一度も反応しなかった零の男根が謎の反応を示すのだった。
これは一之瀬琥珀による脅迫と創作の月野シズクの記録である――。
感想
クリエイターものかとおもったら最近流行りのエロコメだったでござる。
や、多分に創作もの要素はあるし、一概に単なるエロコメとは言い切れないところはあるけれども、このタイトルから年上お姉さんとの触手プレイとかが来るとは思わんじゃん。
で、エッチなシーンの描写はやたら力入っていて、それはそれとして全然悪くないんだけど、肝心のお話の方が面白かったかと言われるとう~ん……。主人公はいわゆる勃起不全で、自分自身のことを描いた小説で賞を取り、同じ苦しみを抱える人たちからも支持を集めた、っていう設定がある。で、本作において主人公のEDがどういう意味合いを持つのかと思ったら、才能があるのに小説を書きたがらないヒロインを「EDの俺が勃ったんだからお前には才能があるんだよ!」って説得するためなんですよね。別にダメじゃないんだけど、正直ちょっと「え、それだけ?」みたいな肩すかし感がありました。重要なテーマの一つであるはずの主人公とヒロイン、それぞれの「書けない理由」も明瞭さに欠ける気がして、あんまり納得感がなかった。
ヒロインも、いわゆる良家のお嬢様設定のテンプレを裏切るようなくだりを入れる一方で、終盤は思いっきりテンプレキャラのお兄さんを利用した筋運びになってたりして、いまいち一貫性を感じない。あと細かいんだけど、やたら主人公に性的な視線を送ってくる友達二人もなかなか気持ち悪い。一応ギャグなんだろうけど、妙に生々しさがあって割り切れない不快さなんですよね。
ダブルミーニングになってるタイトルの綺麗さなんかは悪くなかったんですが、あんまり好きになれない作品でした。まぁごちゃごちゃ言いましたが、結局ヒロインのお姉さんが刺さるかどうかが全てなのかもしれません。