あすはひのきになろう

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異修羅V 潜在異形種/珪素(電撃の新文芸)【感想】

 

2022年1月21日読了。

 

あらすじ

全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。究極のバトル群像劇、第5弾!

 あらゆる思惑が交錯し、儚い結末となった第五試合。
 次なる第六試合は、窮知の箱のメステルエクシル及び奈落の巣網のゼルジルガ。
 彼方の兵器を駆使するだけでなく、無限に再生し蘇るたびに己の死因を克服する最強のゴーレム。
 誰も全貌を掴めぬ伝説の諜報ギルド“黒曜の瞳”の面々と上覧開始前から謀略の糸を張り巡らす道化師。
 無限の破壊と無数の謀略、果たして勝つのは――。
 そして、世界に潜在していた異形が姿を現すとき、修羅たちの戦いはさらなる混沌に包まれてゆく。
 全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。

出典:https://dengekibunko.jp/product/ishura/322012000029.html

 

 

感想

 かなり話が進んだ感じがあります。3試合も消化しましたしね。

 この作者の上手いところは、それぞれのキャラに厚みを持たせる描写をしっかり入れつつ、横に横に広がりがちなストーリーラインをきちんと制御しているところにあると思います。ログ・ホライズン』とか無限に横に広がり続けるだけですからね、面白いんだけど。「コイツはどんな奴なんだろう?」とキャラに興味を持たせるのも上手いし、エピソードを入れるタイミングとか、既存のキャラと絡ませたりとかも上手い。

 今巻は逆理のヒロトと黒曜リナリスが割合中心で、それぞれの意図が明らかになる巻でした。真の勇者の正体と本物の魔王の最後も描かれ、壮大な本作の全貌がようやく見えてきたかなぁといった印象です。真の勇者、確かに考えればお前以外無理そうだわって感じ。しかし、勇気があるゆえに恐怖に打ち克てず、真の勇者があのような存在であるというのは実に皮肉が効いていて面白い。本筋とはあんまり関係ないけど、地平咆メレとその擁立者の話も印象的で良かった。基本明るい話ないですからね、この作品。僕が1巻からずっと注目してる遠い鉤爪のユノもしぶとく生き残ってるし、コイツやっぱ裏主人公じゃないか?

 試合における戦闘描写のテンポも悪くないし、終盤の複数の場所で事態が同時に進行する描写もよく処理していました。ホントに欠点はあとがき芸だけなんですよね。ともかく、続きも大変楽しみなシリーズです。