後宮の烏 6/白川紺子(集英社オレンジ文庫)【感想】
2023年2月6日読了。
あらすじ
夜明け前のような、青ざめた静けさがあった。
寿雪の銀髪が、衆目にさらされた。その銀髪こそが、前王朝の血を引く証だった。高峻が策をもって隠してきた寿雪の秘密がしられてしまったのだ。しかも寿雪の魂は何処かへと去り、その肉体に宿っているのは“烏”。加えて衣斯哈の行方も不明となり、状況は緊迫の度合いを高める。そんな中、寿雪の魂を呼び戻すためには肉親の存在が必要だという情報がもたらされるが……?
感想
いつもよりちょっとページ数少なめ。前巻ラストで前王朝の生き残りであることが明らかになると同時に、烏に身体を奪われ魂がこの世とあの世の狭間的なところに行ってしまった寿雪をどう救い出すか、というお話がメイン。前者は高峻が上手く収めるのですが、後者の方は魂を引き戻すために寿雪の血縁者が必要という展開に。ここで衛青の存在が活きてくるんですね。いや、こうつなげてきたか~という感じ。家族の話になって取り乱す衛青を冷静に諭す温螢っていう構図もなかなか新鮮でした。狭間的なところでは香薔も登場。今なお愛した男に執着する姿は恐ろしくも哀れみを誘われます。全ての元凶とも言える彼女ですが、なんらかの報いが下るのか、それとも救われるのかも気になるところです。
サブキャラの方にも色々動きがありましたが、特にサナメ家の長男にして晩霞の兄・晨はジェットコースターみたいに次々真実が明らかになって情緒めちゃくちゃにされてましたね。これで登場人物紹介にいないってマジ?
いよいよ次は最終巻。寿雪と彼女の周囲の人々にどのような結末が待っているのでしょうか。