あすはひのきになろう

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負けヒロインが多すぎる! 2/雨森たきび(ガガガ文庫)【感想】

 

2021年12月12日読了。

 

あらすじ

焼塩檸檬、まさかの略奪愛……!?
夏休み後半。
たまたま喫茶店でだべっていた俺と八奈見は、驚くべき光景を目にする。

焼塩と、その思い人である綾野が2人きりで会っていたのだ。
さらには、2人を尾行する綾野のカノジョ――“勝ちヒロイン"朝雲千早ともニアミスしてしまう。

「私は光希さんと焼塩さんの浮気を疑っています」

あれよあれよと巻きこまれた俺たちは、朝雲とともに真相を探ることに。

焼塩にかぎってそんなことはと思う。
でも、2人きりのときの、あの想いがにじんだ顔は――。

はやくも人気沸騰の負け確ラブコメ、待望の第2弾!

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453041

 

 

感想

 失恋の敗戦処理、というラブコメに対するアプローチが非常に面白い。誰かと誰かが付き合ったところで、そこで物語は終わるわけではない。ネガティブな題材を扱いながら、笑いを忘れず、一方で締める場面はしっかり締める。主人公はヒロインに対してあくまでも寄り添ったり、背中を少し押したりするだけで、当事者たちとは一線を引いて関わっているのも良い。この辺のバランス感覚が非常に優れていると思います。特に終盤の神社から夜の学校にかけて、主人公がファインプレーしかしなくてビビったよね。今巻は檸檬・綾野・千早の三者のゴタゴタが描かれますが、それぞれの想いが少しずつ噛み合わなくて、みんな別に悪いわけじゃないんだけど、でもみんなちょっとずつ悪いよね、みたいなあたりの言語化も上手い。さらっと描写されてたけど、彼らとの交流を通して、「友達」を得た主人公もちょっとずつ変化を遂げていきそう。

 サブキャラに至るまでそれぞれのキャラの立たせ方も上手いし、掛け合いも楽しい。八奈見の食いしん坊キャラ、実はかなり好きだったりします。確実に今後も楽しませてくれるだろうと期待させてくれる、良作だと思います。