あすはひのきになろう

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メイド喫茶探偵黒苺フガシの事件簿/柴田勝家(星海社FICTIONS)【感想】

 

2022年10月15日読了。

 

あらすじ

「ボクはメイド喫茶が好きだ」
メイド喫茶が大好きな“ボク”が秋葉原で出逢った美人メイド・黒苺フガシさんは、秋葉原中に“推し”とメイド人脈を張り巡らせた「メイド喫茶専門の探偵」だった!
馴染みのメイド喫茶〈はぴぶる〉で発生した密室殺人現場に連行され、“ボク”はフガシさんの犯人捜しに付き合わされることに!

破格のSF作家にして破格のメイドカフェ愛好家、柴田勝家がついにミステリとしてのメイド喫茶の世界を書き尽くす!
メイド探偵フガシさんの推理が冴え渡る、メイド喫茶×本格ミステリ

出典:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000366369

 

 

感想

 星海社の「令和の新本格ミステリカーニバル」なる企画の1作らしい。現実とリンクさせたコロナ禍設定が妙に浮いてると思ったら、アンソロジー『ステイホームの密室殺人 2』に収録されていた作品を第1話に短編連作集にしたからか。

 ミステリとしては特にそこまで面白味はなく、ごくごく普通のキャラミスって感じなのですが、アキバのメイド喫茶を舞台に「推す」側の客と「推される」側のメイドという関係性、そしてその立場の流動性に着目しており、動機面を中心にそれぞれの事件のエピソードとしての面白さが興味深かったです。「推し」という概念はアイドル文化に引きつけられて語られることが多いと思いますが、本作では、「推し」「推す」といった言葉を使いつつも、メイド喫茶特有の文化を物語に絡めつつ、また誰かに推される立場のメイドである人物も、別の場所では誰かを推すファンとしての一面も持つというところにアイドル文化との違いがあり、本作に独自性をもたらしているかなと思います。