M.G.H. 楽園の鏡像/ 三雲岳斗(徳間書店)【感想】
2022年1月24日読了。
あらすじ
無重力空間に浮遊する「墜落死体」の謎。第1回日本SF新人賞を受賞した本格SFミステリーの傑作を加筆修正し、刊行。
※上記あらすじは2021年6月に刊行された文庫版のもの。実際に読んだのは密林の画像の通り、2000年初版の単行本の方です。
感想
『ストライク・ザ・ブラッド』でおなじみの作者さんが大分前に書かれたSFミステリ。幼馴染と偽装結婚!みたいな恋愛要素は割とライトな感じですが、SFとミステリの部分はかっちりしています。「無重力空間で墜落死体」という謎はキャッチーですが、トリック自体にそこまで劇的な感じはしなかったです。部分的に自我を持ったAIとか、「自分が犯人だと気づいて欲しかった」犯人の動機なんかは割と面白かったんですが、いまいちそれが本筋としっかり絡んでいなかった気がしました。主人公の過去、主人公とヒロインの関係性、博士の存在、アプリカント、いずれも面白いんですが、互いにつながりが薄くて独立してしまっている印象でした。ただ、20年以上前の作品ですが古くささはほとんどなく、今読んでも十分に面白かったです。博士と犯人に共通するテーマである自身が生きた証をどう遺すか、みたいな話をもっと深めてくれてたらより楽しめたかなぁ。