むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。/青柳碧人(双葉社)【感想】
2022年8月29日読了。
あらすじ
日本昔ばなし×本格ミステリふたたび! 2019年4月に刊行されるやいなや瞬く間にベストセラーとなった『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の続編が誕生。今回収録されたのは、「かぐや姫」「おむすびころころ」「わらしべ長者」「さるかに合戦」「ぶんぶく茶釜」の5編。果たしてこれらの昔ばなしがどんなミステリになったのか。各作品を通してのテーマが隠されており、それぞれのつながりも楽しい短編集です。
出典:https://www.futabasha.co.jp/book/97845752445400000000?type=1
感想
シリーズ2作目かと思ったら3作目らしい。『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』を飛ばしちゃったんだな。まぁ続き物ではないので特に問題はないです。何ならこれから読んでも良い。
1作目よりも串刺しの構造を明確にしようという姿勢は見て取れたし、現に面白さも底上げされている一方で、1作目の「つるの倒叙返し」のような綺麗にハマったギミックはなく、騙される気持ちよさみたいなのはやや薄かったように感じました。難癖気味かもしれませんが……。とはいえ、前作に引き続きサクッと読んでサクッと楽しめる取っつきやすさは健在だったと思います。
竹取探偵物語
怒濤の外れ推理からの超展開。前振りはきちんとあるものの、はぁ、そうですか……としか言いようがない。
七回目のおむすびころりん
ループもの。性悪じじい視点だけど結構愛敬がある。田吾作、キーマンだとは思ったがそんな強引な行為に及ぶとは。なんでこの人がn回飛ばしなんだろう?とかは考えちゃダメなポイントなのかな。オチもあまりピンときていない。
わらしべ多重殺人
比較的シンプルでわかりやすい。殺された側も殺した側も複数の顔を持っているのが面白ポイントかな。
真相・猿蟹合戦
これもなかなか面白かった。語りの中の違和感を丁寧に拾い上げて新たな物語を組み上げていく流れが綺麗。
猿六とぶんぶく交換殺人
ぶんぶく茶釜本編をよく知らないのでどこまでが昔話要素なのかちょっとよくわからず、普通に猿蟹合戦の続きとして読んじゃった。半分くらいまでいってやっと「猿六」=「シャーロック」、「綿さん」=「ワトソン」であることに気づく。それなりに面白いけど、殺された猿が恨まれまくってて笑ってしまう。なんで猩々翁はこんな奴を気に入ってるんだよ。