裏世界ピクニック7 月の葬送/宮澤伊織(ハヤカワ文庫JA)【感想】
2022年6月28日読了。
あらすじ
TVアニメ化のSFホラー、最新巻!
閏間冴月。裏世界の研究を続けるうちに〝向こう側〟へ姿を消した鳥子の大切な人。これまで何度も怪異として脅威をもたらしてきた存在が、かつてなく大胆に空魚のもとへと迫る。ついにブチ切れた空魚は、自身の知識と人脈を総動員して冴月を「祓う」ための葬送計画を開始する!
出典:https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015009/
感想
閏間冴月の件がついに決着を迎えます。迎えたんだよな? もう出てこないんだよな?
一応中編3つという形になっていますが、内容的には事実上の長編みたいな感じ。
ファイル21 怪異に関する中間発表
誕生日を祝っていないことでケンカ、ゼミで発表、冴月と邂逅。霞ちゃんは小桜が引き取るんですね。発表のシーン、自分の立場もあってすごく身につまされましたね。自分が何に対して、何故興味があって、どう研究を進めていきたいのか。自己分析というと胡散臭いですけど、そういうのって必要ですよね、とか。
ファイル22 トイレット・ペーパームーン
ずっと薄々気づいてましたが、空魚相当物騒な考え方してますよね。得体の知れないものに対して「よっしゃ殺そう!」と決意できるメンタル、すごい。ただ一方で、鳥子や茜理、夏妃らに対する向き合い方も確実に変わってきてて、ここが最後につながるんですね~。るなもがっつり再登場。冴月の部屋でのシーン、いい緊張感だった。
「この手、ああ、うそ、この手、知ってる」
呻くように鳥子が言った。
「
冴月の手だ 」(p.201)
ファイル23 月の葬送
パワープレイこっくりさん。自分のクレイジーさを自覚してきた空魚に、「イカれてるって今まで百回くらい言ってきたつもりだけど、耳もげてた?」(p.256)っていう小桜が好きすぎる。そして今回の決め台詞。
「あなたがちょっかい掛けてた子たち、
全員まとめて面倒見てあげる 。――だからもう、二度とその顔見せないで」(p.296)
冴月と直接面識のない空魚も送る言葉を言わないといけないの、ちょっと理不尽な気もしますが儀式ってそういうなのかな。ラストの小桜の写真が良い。今回僕ずっと小桜の話してるな。
1巻から続いてきた冴月をめぐるお話に恐らく完全にけりが付きました。空魚の言質取られた感がすごいですが、空魚のクレイジーさも去ることながら、鳥子も大概重いところあるので、この先どこへ向かうことになるのやらといった感じ。続きも楽しみにしています。