あすはひのきになろう

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ピザ宅配探偵の事件簿 謎と推理をあなたのもとに/猫森夏希(宝島社文庫)【感想】

 

2022年11月25日読了。

 

あらすじ

デリバリーの時代に起こる数々の殺人事件。

暴くのは宅配ピザの配達員!?

このピザ屋には、秘密がある

このミステリーがすごい!』大賞シリーズ

宅配ピザの常連客が強盗に殺され、容疑者の元配達員も死んだ。盗まれた金品はどこにいった? (第1話)オンライン越しに見えた同僚の恋人は、殺人犯として指名手配された男にそっくりで……。(第2話)マンションで起きた殺人事件。被害者の口元からは、つけていたはずのマスクが消えていた。(第3話)行く先々で事件に遭遇するピザ配達員が、美味しいピザと共に華麗な推理を披露する連作短編集!

出典:https://tkj.jp/book/?cd=TD030368&path=&s1=

 

 

感想

 2020年のコロナ禍まっただ中を舞台に、ピザの配達員を探偵役とする全4編の連作短編集。

 1話2話に顕著ですが、基本的にギミックはシンプルながらも読者を驚かせる効果的な仕掛けがあり、満足感の高い1冊でした。特に2話は倒叙式を逆手に取ったギミックは上手くはまっており、出色の出来だったと思います。ピザ屋の配達員という街中のどこにでも溶け込み、どこにでも行ける迷彩的な特性を活かして事件にぬるっと関わっていくのも面白いし、トリックや犯人の境遇など物語にコロナ禍という設定を上手く落とし込んでいる点も好感触です。ピザ屋の配達員が何故やたらと謎解きが達者なのか?という疑問に対してすらも最終話で答えが用意されており、舌を巻きます。しかも1話からしっかり布石があるという。

 正直タイトルやあらすじなんかからはピンとこなかったんですが、蓋を開けてみれば期待以上に楽しませてもらえた作品でした。