あすはひのきになろう

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悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。/天壱(アイリスNEO)【感想】

 

2022年12月9日読了。

 

あらすじ

8歳で、乙女ゲームの極悪非道ラスボス女王プライドに転生していたと気づいた私。攻略対象者と戦うラスボスだから戦闘力は高いし、悪知恵働く優秀な頭脳に女王制の国の第一王女としての権力もあって最強。周囲を不幸にして、待ち受けるのは破滅の未来!……って、私死んだ方が良くない? こうなったら、攻略対象の悲劇を防ぎ、権威やチート能力を駆使して皆を救います! 気づけば、周囲に物凄く愛されている悪役ラスボス女王の物語。

出典:https://www.ichijinsha.co.jp/iris/title/higeki-last-boss/

 

 

感想

 アニメ化するらしいので読んでみました。将来めちゃくちゃ悪い女王様になる人物に転生していることに気づいた主人公が、攻略対象のイケメンや国民を助けるために頑張るお話。もとが極悪非道の人物で、その性根が自身にまだ残っているのを自覚しているため、かなり悲観的というか、「いざとなったら私を斬れ」みたいなことをイケメンに平気で言ったりする。もしかしたら運命の強制力的なアレコレが働いてるのかな? 今のところよくわからないですが。

 青臭さはあるものの書きぶりは結構筆が乗っていて、主人公の献身的な振る舞いにイケメンが心動かされていく描写はこちらにも訴えかけてくるものがあったし、騎士団を助けに行くくだりは結構熱かったりもする。もともとの悪辣な所業や破滅する行く末を知っているからこそ、今できることをやって精一杯周囲に尽くそうとする主人公にはある程度魅力を感じます。

 一方で、同じイベントを主人公視点とイケメン視点で二度繰り返すのは、さすがにクドさを感じます。今巻では大まかに分けると義弟を落とすイベントと騎士団を助けに行くイベントの二つが描かれ、主人公視点→義弟視点→主人公視点→騎士団長の息子視点へと順々に変わります。もちろん、キャラそれぞれの心情が明らかになるので、主人公のこういう言動でイケメンくんがこう感じて救われたんだよ~とわかるのは良いんだけど、当然ながら展開は分かりきってるわけで、台詞も全く同じ。両方の心情を詳しく描きたいというのはわかるし、面白さにつながっていないとは言わないけど、それにしたって「同じ展開を別視点で2回やります!」はあまりにも工夫がなさ過ぎる。かえってアニメとかの方が上手く処理できそうですが、ここらへんをもう少し何とかして欲しかったです。

 ストーリーやキャラはよくても、その見せ方にやや難ありな作品でした。続きはどうしようか……。