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紅蓮戦記1 天才魔術指揮官は逃げ出したい/芝村裕吏(MF文庫J)【感想】

 

2022年12月16日読了。

 

あらすじ

滅亡から始まる14歳の天才魔術指揮官による前代未聞の大脱出劇!


魔法戦争にて、14歳ながらルース王国史上最高の戦果と功績を挙げた魔術指揮官マクアディ。だが、若き「戦争の天才」の連戦連勝をもってしても王国全体の敗北は止めようがなく、祖国は滅亡寸前に追い込まれていた。自らが率いる隊と共に華々しく命を散らし「悲劇の英雄」として歴史の教科書に載る覚悟を決めたマクアディ。けれど、そんな彼の下に駆け付けた満身創痍の軍務卿から王女二人を託されたことでその運命は一変。敵軍に完全包囲された戦場に遺された仲間と共に、生存と祖国存亡を懸けた不可能と思われる大脱出に挑むことになる。最弱の国に生まれた最強の天才が歴史に刻む、途方もない奇跡の物語、開幕――!

出典:https://mfbunkoj.jp/product/gurensenki/322202001152.html

 

 

感想

 作者は『高機動幻想ガンパレード・マーチ』のゲームデザインや『刀剣乱舞』のシナリオ、小説『マージナル・オペレーション』なんかで有名な人。

 シンプルなタイトル(副題から目をそらしつつ)や作中でカタカナを使わないこだわり、集団戦においてやたら数字の重要性を強調する語り口なんかからは、重厚な戦記物みたいな雰囲気を感じる一方で、お話としてはめちゃくちゃ強い魔法が使える主人公が押し寄せる敵をガンガン吹っ飛ばしていく典型的な俺TUEEEなので、そのギャップにちょっと戸惑いがあった。別に愛国心があるわけでもなく、割と成り行きで戦っている主人公と、敵でありながら少年である彼を心配する女性や彼に縋るしかない敗戦国の王女、彼に好意を寄せる敵国の王女など、それぞれの心情のすれ違いを楽しむ群像劇的な一面もなくはない。とはいえ、主人公は他人の心配をよそに飄々としてるし強すぎるので特にピンチにもならないしで、戦闘も心情の揺れ動きもさほど見所がなく、どういう楽しみ方をすれば良いのかいまいちわからなかったというのが正直なところでした。