あすはひのきになろう

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迷探偵の条件 1/日向夏(MF文庫J)【感想】

 

2022年7月5日読了。

 

あらすじ

あなたは「運命の人」(はんにん)を捕まえられるのかしら?


真丘家の男子は十八歳までに運命の女性に出会わなくてはならない。
でないと、十八歳で必ず死ぬ。
つまり本日、十七回目の誕生日を迎えた俺・真丘陸にはあと一年の猶予しかないということである。
しかし、その残念な運命を回避するには厄介な体質が俺にはあった。
しかも二つ。
一つは女難体質で、この中に運命の相手がいても困るレベルでヤンデレばかり引き寄せてしまうこと。
そしてもう一つは、超がつく探偵体質であること。
それはもう、ちょっと出かけると事件に巻き込まれるような。
というわけで、今日もまた死体に出くわしたのだが……。
もしかして、犯人が運命の人ってことはないよな?

出典:https://mfbunkoj.jp/product/meitannteino/322106000741.html

 

 

感想

 『薬屋のひとりごと』の作者、実は初読み。文章の読みやすさはさすが売れっ子作家、といった感じですが、それ以外の要素は総じて首をひねるところが多かったです。

 やたら変な女が寄ってくること、殺人事件に遭遇しがちなこと、この二つのご都合設定を「体質」という便利設定で雑に片付けたことはまぁ賛否あるでしょうが許容範囲内ではあります。串刺し方式から外れている第二の事件はめちゃくちゃ浮いて見えましたが、一応ミステリという体は取っているので、謎解きもそれなりにありはします。

 一方で、今巻の時点では女難体質が上手く物語に反映されているとは思えず、妙にあだ名を付けて呼びたがる主人公の癖もリーダビリティを下げているように思えます。そもそも、なんでまりあさんが表紙を飾ってるのかもよく分からない。めちゃくちゃヒロイン面してるけど、全然そんなことないじゃん! ユキちゃんの方も、女難体質の主人公と長年付き合ってるんだから、さぞかしヤベェ奴なんやろなぁ……と思ったら別に大したことない、というか詳細は次巻以降にお預けで拍子抜け。「運命の人を見つけないと死ぬ云々」の話も、中盤で全く振れられないので最後に蒸し返されてようやく思い出したレベル。

 キャラも文章もこなれているので、読めるのは読めるんですが、いろいろな要素が取っ散らかっている印象は否めず、お世辞にも完成度の高い作品とは言えません。 タイトルに堂々と「1」と付けているとおり、シリーズ化前提でとりあえず1巻出してみました、という売れっ子作家にありがちな、いまいち全力投球しているとは思えない作品で、やや残念でした。