あすはひのきになろう

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声優ラジオのウラオモテ #06 夕陽とやすみは大きくなりたい?/二月公(電撃文庫)【感想】

 

2022年1月23日読了。

 

あらすじ

問題児だらけの声優プロジェクト始動! 夕陽とやすみはリーダーできる!?

 アイドル声優プロジェクト『ティアラ☆スターズ』始動! アニメ・ゲームにラジオと展開盛りだくさんな企画の幕開けは、選抜ユニット同士の対抗ライブ。先輩声優も参加する中、リーダーはなんと――夕陽とやすみ!?
「なぜ、あなたがリーダーなんですかね」
 やすみ率いるユニット“ミラク”に、芸歴8年目の先輩(?)小学生声優・双葉ミントは不満たらたら。
「勝ち負け、って考えは変じゃない~?」
 さらに年上の新人声優・飾莉とも心がすれ違って空気は最悪。夕陽率いる“アルタイル”との差も開くばかり。でも――。
「勝負しましょう、歌種やすみ」
 傍にいなくても、夕陽への闘争心が力をくれる! 問題児揃いのチームをまとめ、やすみは一回り大きくなれるのか!?
 新ウラオモテ声優も続々登場の、熱すぎる青春声優ストーリー・第6弾!

出典:https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322109000001.html

 

 

感想

 今一番もっと評価されて欲しいシリーズ。夕陽とやすみがそれぞれ別グループのリーダーとして、声優ユニットを引っ張っていく立場になりますが、やすみのユニットのメンバーは一癖も二癖もあって……?みたいなお話。シナリオとしてはある程度先が読める範囲を出ないのですが、とにかく導線が非常に丁寧で、キャラのヘイト管理も巧み。おなじみの見開きラジオコーナーも、普段と異なるメンツで回すパートを続けた後、終盤夕陽と一緒のコーコーセーラジオ!に戻ってくる、というやすみの気持ちを読者にも擬似的に体験させるギミックが上手くハマっています。

 1巻から裏営業疑惑騒動をしっかり引きずりながらも、その間違いと向き合い、現在の自分をもってその間違いを肯定するという、飾莉とのやりとりの中で語られるやすみの騒動との向き合い方が非常に真摯で、めちゃくちゃ良かった。キャラの配置も抜群で、新キャラ二人も、やすみに対する試練として機能しながらも、決して単なる嫌われ役ではないし、先輩であるめくるが助け船を出したり出さなかったりするバランスも良い。先輩キャラでありながら彼女自身の声優好きというキャラが本編をシリアスにしすぎないコミカル成分を担ってくれているのも絶妙ですよね。難しい言葉を使えないミントが「親の七光り」はスッと言えるという、記号的なキャラ付けをキャラクターの背景にまできちんと落とし込んでいるのもすごく良い。

 あとやっぱり二人のバチバチのライバル関係がめちゃくちゃ良いんですよ……。今回それぞれの立場で成長した二人が、次巻は先輩声優たちを前に共闘しそうな流れで、今から楽しみです。