あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

虚魚/新名智(KADOKAWA)【感想】

 

2022年5月21日読了。

 

あらすじ

わたしは探している。<人を殺せる>怪談を。 横溝賞<大賞>受賞作。
“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象。両親を事故で亡くした日から、三咲はそんなあやふやなものに頼って生きてきた。カナちゃんとふたりで本物の怪談を見つけ出し、その怪談で両親を事故死させた男を殺すことが、いまの三咲の目標だ。
ある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にした三咲は、その真偽を調べることにする。ある川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかり、ふたりはその発生源を求めて、怪異の川をたどっていく。“本物”の怪談に近づくうち、事情を抱えるふたりの関係にも変化がおとずれて――。
選考委員の絶賛を浴びた第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/322106000335/

 

 

第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作品。

 

感想

 こなれてはいるが、面白いかと言われると……みたいな印象でした。「“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。」というあらすじだけで面白くなりそうな気配がするのですが、なかなかどうしてストーリーにいまいち起伏がなく、ぬるぬる読み進められるものの不思議とインパクトが薄かったです。ホラーというほど恐ろしくないし、ミステリーというほど謎解きに気持ちよさがあるわけでもない、という中途半端さも原因かもしれません。

 様々な怪談を収集しつつその共通点や源を探ったり、現地に実際に赴いて人びとから話を聞いたりみたいなフィールドワーク的な面白さや、登場人物それぞれが自身の抱える過去とどのように向き合っていくか、そして語られる怪談そのものの捉えどころのなさ、といった見所もあるのですが、いずれも強く惹かれるほどではなかった、というのが正直なところです。

 文章も読みやすいし、小説としての体裁は非常に整っているのですが、なかなか強みの見出しにくい作品でした。