あすはひのきになろう

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ブルーローズは眠らない/市川憂人(東京創元社)【感想】

 

2022年6月8日読了。読んだのは単行本版。

 

あらすじ

両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。
一方、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出した、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査してほしいという依頼を受ける。ところが両者への面談の後、施錠された温室内で切断された首が発見される。扉には血文字が書かれ、バラの蔓が壁と窓を覆った堅固な密室状態の温室には、縛られた生存者が残されていた。
各種年末ミステリランキングにランクインした、『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!

出典:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488027766

 

 

感想

 デビュー作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、コンビ刑事〈マリア&漣〉シリーズの第2弾。

 前巻に引き続き頻繁に前後する時系列やアルファベットでぼかされる固有名詞の地名など、リーダビリティの低いところが散見されました。特に同じような名前の登場人物がいたり、具体的な地名が明かされないので実際の距離感が掴みづらかったりするので、ちょっと混乱しなくもなかったです。時代の異なる物語が章ごとに交互に進行するのですが、各章とも結構気になる感じで終わるために、続きが気になって読み進めちゃう、みたいなところもあるので、一概に時系列の前後が悪いとも言い難いのが難しいところですが。

 内容としては、謎解きそのものよりも、犯人たちの過去や、何故犯行に及んだかという物語の方が面白くて、そっちの方に惹かれました。まぁなんでそんな回りくどい方法をとったんだ、という疑問は残りますが……。探偵役であるマリアと漣のキャラがテンプレ的というか、一面的な分、犯人の方にフォーカスが当たっている気がします。一方で、タイトルにもある青い薔薇を生み出すための技術とかのお話はフレーバーにとどまっていたような印象がありました。あとは犯人の犯人?みたいな人の思考回路もよくわかんなかったですね。ああいうサイコパスなんです、と言われればそう……と返すしかないですが。また一点、読了時に納得のいかないトリックがあったんですが、検索してみて理解できました。どっちにも通用するんですね(リンク先ネタバレ注意)。このトリックというかギミック、割と本作のなかでも劇的なものだと思うんですが、その性質上なんかヌルッと明らかになってて、いまいち盛り上がりきらなかったのもちょっと残念だったかもしれません。