あすはひのきになろう

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ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん/恵ノ島すず(カドカワBOOKS)【感想】

 

2022年12月日読了。

 

あらすじ

隠したい本心がゲーム実況のせいでダダ洩れ!? 今最もカワイイ悪役令嬢!

乙女ゲームの王子キャラ・ジークは突然聞こえた神の声に戸惑う。曰く婚約者は“ツンデレ”らしい。彼女の本心を解説する神の正体が、現実世界のゲーム実況とは知る由もないジークに、神は彼女の破滅を予言して――?

出典:https://kadokawabooks.jp/product/tundereakuyakureijo/321810000782.html

 

 

感想

 アニメ化するらしいので読んでみました。どっちかと言うとコミカライズが人気っぽい。今巻と次巻で実質上下巻みたいな感じかな? 

 タイトル通り、現実世界にいる高校生の遠藤くんと小林さんが、ゲーム世界にいる一部の人々に自分たちの声を届けて、あーだこーだアドバイスしたりしなかったりするお話。ただ基本はゲーム世界の王子様、ジークヴァルトが視点で、彼らには自我がしっかりあり、「神の声が聞こえてきた!」みたいな受け取り方になっています。てっきりタイトルのリーゼロッテちゃんが主人公かと思っていたのでちょっと意外でした。ツンレデレの振る舞いと内心を王子に解説することで、周りの誤解を防ぐというのが基本的な構図です。

 文章があまりこなれてない印象があるうえに、ちょいちょい視点も変わるのでちょっと読みづらいところがある。個人的にはツンデレの言動を実況解説風にトークされるのもなかなか小っ恥ずかしかったですね。ここらへんは好みにもよるでしょうが……。というか、タイトルの割にいまいちリーゼロッテがクローズアップされてる感じがしなくて、後半なんかは、ゲームの本来の主人公であるフィーネの方に話の中心が移ったりします。もちろんリーゼロッテの描写もあるんだけど、実況解説のおかげで周囲との誤解や衝突もないので、カタルシス的なものはほぼなくて、王子様が心の中で悶えるのがメインみたいな節がある。その分甘々イチャイチャ系が好きな人には刺さるのかな? 言うほどイチャイチャもしてなかった気もするけど……。ただ終盤でぶっ倒れたりしてたし、古の魔女云々の設定が次巻で効いてくるのではと思います。

 遠藤くんと小林さんの方も微妙に掘り下げがあって、野球部を故障で引退した遠藤くんが、その時親切にしてくれた小林さんに片思いしている、みたいなくだりがある。今のところゲーム世界の展開と重なり合うところも見受けられないし、「そうですか……」としか言いようがないんだけど、こっちもゲームの方と一緒何か進展があるのでしょうか。いやまぁさすがに何かはあるんだろうけど……。

 あと、こういう俺の力でゲーム本来のシナリオを変えてやるぜって感じのお話だと、自分の気持ち一つで登場人物の運命を左右してよいものか、みたいな議論がよくあると思うんですが、本作はそこはあんまり突っ込まないっぽい。一応先の展開を全部バラすことは控えて、登場人物みんな生き残れるように頑張ろうね~という感じです。まぁ本作の雰囲気でそこに踏み込んでもしょうがないとは思います。

 今のところ、正直アニメ化までこぎ着けたのは(未読だけど)コミカライズのおかげでは……?という気がしないでもないですが、とりあえず続きも読んでみようと思います。