2021年12月10日読了。
あらすじ
謎のアミクスによる連続襲撃事件。鍵を握るのは女王の三つ子、最後の一人!
★第27回電撃大賞《大賞》受賞のSFクライムドラマ★
哀切怒濤の第2弾開幕――!!再び電索官として。歩み出したエチカに新たな事件が立ちはだかる。RFモデル関係者連続襲撃事件――被害者の証言から容疑者として浮上したのは、他ならぬ〈相棒〉ハロルドの名前だった。
「きみの思考に入り込めたらいいのに」
「あなたに潜れたらどんなにいいか」ままならない状況に焦るほど、浮き彫りになる<人>と<機械>の絶対的違い。埋められない溝に苦しみながらも捜査を続ける二人を待ち受ける衝撃の真相、そしてエチカが迫られる苦渋の選択とは――!
出典:https://dengekibunko.jp/product/yourforma/322011000155.html
感想
面白かったです。1巻も面白かったですが、今巻でさらに一段ギアが上がった印象があります。「機械」と「人間」、「人間」と「人間」の相互不理解の物語を描きつつ、事件の謎を追うサスペンス要素が強く物語を牽引し、カーチェイスシーンのようなクライムアクション要素を盛り込むことで、完成度の高いエンタメ作品に昇華しています。「敬愛規律」に秘められた謎の開示など、2巻にして展開を出し惜しみしない点も非常に好ましい。互いにわかり合えないのではないかという不安をはらみながらも、歩み寄ろうとするエチカとハロルドの姿にも惹きつけられます。依然として、本作を象徴するはずの電索という行為が物語に対して果たす役割をもう少し大きくしても良いのではないかとは思いますが。
電索官としての責務とハロルドに対する情念という背反の狭間でエチカが下した選択が、今後どのような結果を招くのか? 人間はアミクスの「ブラックボックス」に何を見出すのか? ハロルドとエチカはいつか「対等」になれるのか? 様々な課題にどのような答えが示されるのか、今後の展開にも強く期待を抱かされるとともに、もっと評価されて欲しいと思うシリーズです。