あすはひのきになろう

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ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論/松岡圭祐(角川文庫)【感想】

 

2022年1月20日読了。表紙・背表紙・奥付タイトルはアクセント記号つきの『écriture 新人作家・杉浦李奈の推論』。

 

あらすじ

新進気鋭の作家に盗作疑惑!? 発覚後は失踪――
ラノベ作家の杉浦李奈は、新進気鋭の小説家・岩崎翔吾との雑誌対談に出席。テーマの「芥川龍之介太宰治」について互いに意見を交わした。この企画がきっかけとなり、次作の帯に岩崎からの推薦文をもらえることになった李奈だったが、新作発売直前、岩崎の小説に盗作疑惑が持ち上がり、この件は白紙に。そればかりか、盗作騒動に端を発した不可解な事件に巻き込まれていく……。真相は一体? 出版界を巡る文学ミステリ! 

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000234/

 

 

感想

 タイトルはフランス語で「書かれたもの」や「文字」、「書くこと」や「文体」、「書き言葉」を意味するそう。

 小刻みに文学知識を披露していくペダンチックな振る舞いはあまり好きになれませんでしたが、小出しにしておいた情報を解決パートできっちりきっちり拾っていく手法が今回はことさらよくハマっていたと感じました。色んな人から話を聞いて、「ここ不自然だよなぁ、あそこも不自然だよなぁ」みたいに主人公とともに首をひねりながら進んでいくのも楽しかった。

 ただ、死体を見る前と見た後で主人公が目に見えて図太くなってて、その成長*1をエピソードだけでなく説明調の文章や他のキャラの台詞などで過剰に印象づけているきらいがあります。どういう過程を経て変化したか、という部分がふわっとしてる割に「変わった」「変わった」という事後ばかりが強調されるので、そこはう~んポイントでした。あとそういうのは論文として成立してなくない?とか、そういう振る舞いを文学研究者はしなくない?みたいなツッコミどころもチラホラあったけど、そこにリアリティ求めてもしょうがないですね。

*1:それを成長と呼ぶならですが