勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録III/ロケット商会(電撃の新文芸)【感想】
2023年2月27日読了。
あらすじ
懲罰勇者に堕ちたパトーシェを加え、極悪の罪人たちが絶望をぶっ飛ばす!
★「次にくるライトノベル大賞2021」総合部門 第2位!★
雪の舞う中、懲罰勇者部隊に新たな任務が課せられる。
最終目標は陥落した第二王都ゼイアレンテの奪還。魔王現象二十一号『アバドン』の支配下にある王都から進出してくる異形の軍勢を叩き、トゥジン山に攻略拠点を築くというものだった。
しかし、ザイロたちに告げられたのは、単独で先行してトゥジン・トゥーガ丘陵を占拠し野戦築城にて拠点を確保するというもので……。
「――そうだ。完全に、囮だな」
無謀な作戦に激怒するザイロたちの前に、元聖騎士団長で懲罰勇者に堕ちたパトーシェが現れる。
そんな絶望的な状況のなか、異形に追われる王子と王女を助けたことが思いがけず戦況を動かしていく。
書籍版オリジナル展開で贈る、極寒の王都奪還作戦の行方は──!出典:https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322202000033.html
感想
今巻も面白かったです。新たに懲罰勇者となってしまったパトーシェが加わり、ザイロたちは第二王都奪還に向けた作戦に従事します。今巻ではノルガユ陛下の過去が明かされ、また魔王側につく人間たちの描写も増えてきた印象があります。
相変わらずギリギリの戦いの中でもパトーシェがちゃんとラブコメしてるのが微笑ましい。勇者部隊の個性的なメンツが、ちゃんとそれぞれ見せ場がありつつ全員集合して戦うのが楽しいし、加えて聖騎士団長ホードと女神ペルメリィや、ドッタのことをひたすら勘違いしまくる魔王側の女傭兵のトリシールのようなサブキャラの描写もしっかりしていてバランスが良い。ノルガユの過去を明らかにするのに、助け出した王女が何故かノルガユのことを知っている、という流れを作ってから見せる展開の作り方も上手いと思います。
また魔王側についた男の末路も印象的でした。「本当の自分」は人類を裏切るような人物ではないのだと言い聞かせることで精神の安定を保っていた男が最終的に出会ったのは懲罰勇者の一人で……という感じで、前振りとなる会話がしっかり効いていたのもあり、本人の思っていた形とは違えどその最期は「人類のため」であったのは何とも皮肉に思われました。
毎巻安定した面白さで、かなり楽しく読んでいるシリーズです。続きもできれば早めに読みたい……と思っています。