あすはひのきになろう

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にぎやかな未来【感想】

 

にぎやかな未来 (角川文庫)

にぎやかな未来 (角川文庫)

 

  2021年2月20日読了。

 

あらすじ

巨匠・筒井康隆の、とびっきりブラックで笑える掌篇集。解説・星新一
「超能力」「星は生きている」「最終兵器の漂流」「怪物たちの夜」「007入社す」「コドモのカミサマ」「無人警察」「にぎやかな未来」など、41篇の名ショートショートを収録。

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321601000110/ 

 

 

感想

 筒井康隆作品を読むのは初かも。『時をかける少女』すら小説はおろか、映画も見てないし、去年の『富豪刑事』のTVアニメを見たことをカウントするのはさすがに……*1

 内容はSF中心のショートショート集なんですが、旧版初版が昭和47年(1972年)というだけあって、さすがに今の時代に読むには少々古くさいという印象は拭いきれません。解説の星新一は、「私の場合、作品が古びるのをきらって時事風俗を扱うのを避けているが、彼はそんなことをしない」と書いていて、ここら辺が二人の違いなのかなぁと思ったり。

 正直何を風刺してるのかよくわかんないのもちょいちょいあったんですが、広告社会を皮肉る表題作や作られるゴシップを描く「人形のいる街」は現代に通じるところがありますし、「腸はどこへいった」はご丁寧に図まで付けてくれるくだらなさに笑ったし、作者のデビュー作である「お助け」もシンプルながら面白いお話でした。「幸福ですか?」も良いオチなんですが、今の時代に読んでしまうと語り部の女性観的なものに違和感が……と書こうとしたところで読み返したんですが、これ語り手がわざとやってると考えたらそんなに変でもないかもですね。

 めちゃくちゃ面白い!とはいかないものの、読みやすいので軽め読書がしたいときにおすすめです。

*1:ちなみに作者本人が声優出演してました