2020秋アニメ振り返り
やります。核心的なネタバレは避けて書くつもりですが、これから見ようと思っている作品の感想は読まない方が良いかも知れません。あと負の意見もあります。並びは五十音順です。今回は自分の勉強用にスタッフの情報も描いてます。名前のリンクはWikipediaかアニメ@wikiに飛ばしてます。めちゃくちゃめんどくさかったのでもうやらないかも知れません。
コロナの揺り戻しでめちゃくちゃ本数が増えました。人気作の続編が目立つ一方で、新作やオリジナルでも光るものがいくつもあり、近年ではかなり豊作のクールだったのではないかと思います。
- アクダマドライブ
- アサルトリリィ BOUQUET
- 安達としまむら
- 池袋ウエストゲートパーク
- いわかける! - Sport Climbing Girls -
- 炎炎ノ消防隊 弐ノ章
- おちこぼれフルーツタルト
- 神様になった日
- 神達に拾われた男
- キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
- くまクマ熊ベアー
- GREAT PRETENDER
- ゴールデンカムイ(第3期)
- ご注文はうさぎですか? BLOOM
- 呪術廻戦
- ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
- 戦翼のシグルドリーヴァ
- 体操ザムライ
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかlll
- D4DJ First Mix
- 土下座で頼んでみた
- トニカクカワイイ
- NOBLESSE -ノブレス-
- ひぐらしのなく頃に 業
- 『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rhyme Anima
- 100万の命の上に俺は立っている
- まえせつ!
- 魔王城でおやすみ
- 魔女の旅々
- 魔法科高校の劣等生 来訪者編
- 無能なナナ
- 憂国のモリアーティ
- ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
- レヱル・ロマネスク
アクダマドライブ
開幕10割って感じ。
カントウがカンサイを属国にしている世界を舞台に「アクダマ」と呼ばれる犯罪者が暴れ回るオリジナルアニメ。ストーリー原案の小高和剛とキャラクター原案の小松崎類はゲーム『ダンガンロンパ』シリーズのコンビで、今はスパイク・チュンソフトを抜けて、原作としてクレジットされている「TooKyoGames」って会社を新しく立ち上げてるみたいです(リンク)。監督の田口智久は僕が見てるのだと『キノの旅 the Beautiful World the Animated Series』で監督やってますね。あとはペルソナのアニメもいくつか監督されてます。シリーズ構成の海法紀光は『がっこうぐらし!』の原作者として有名。最近だと『彼方のアストラ』でもシリーズ構成を担当していました。アニメーション制作は老舗のstudioぴえろ。今期は『おそ松さん』第3期と掛け持ち。あんまり作画すげぇ!っていうイメージのないとこだったけど、本作はすごかったですね。ちなみに各話サブタイトルは海外映画から取ってきてるみたい*1。
めちゃくちゃ面白かったです。昨年最も毎週楽しみにしてたアニメですし、割と刺さる刺さらないはありそうですが、1話だけでも視聴する価値はあるかなと思います。ただし、規制多めとは言えちょいちょいグロシーンがあるのでそういうのが苦手な人は注意した方が良いかもしれません。一つの謎をあんまり引っ張らず、息つく暇もなくどんどん話が展開していくので一切退屈することがなかったです。ちょいちょいガバッてるっぽいところもありましたが、勢いがあるので結構何とかなってる気がします。とにかく雰囲気がとてもかっこいい。世紀末っぽい世界観とか細かい小道具の一つ一つとかが上手く噛み合って統一性のある魅力的な空気感を生むことに成功していたと思います。個性的なアクダマも魅力的で、それぞれがどう考えてどう行動したのかというのが伝わってくるシナリオ展開になっていたと思います。6話の師匠対喧嘩屋は昨年全体で見ても作画・演出ともに大満足の回でしたし、9話の殺し屋を演じる櫻井孝宏の演技がめちゃくちゃハマってて良かった。キーアイテムの500イェンも綺麗に使ってたし、各キャラの最期もそれぞれに相応しいものになっていて(特に医者)(ネタバレにつき反転)。結末も文句なし。1クール本当に楽しませてもらったアニメでした。
アサルトリリィ BOUQUET
アクションドールを中心に、アプリゲームやコミカライズ、ノベライズ、舞台などなどいろんな展開をしているメディアミックス作品。
アサルトリリィの前身企画は2005年から、立体商品としては2013年からやってきました #アサルトリリィ のアニメ1話がついにこの後25:28から放送されます。多くの方々に支えられての今であることを実感し感無量です。関係者各位はもちろん応援してくださる皆様本当にありがとうございます。 https://t.co/vUgTHzUlWe
— 尾花沢軒栄 (@obanazawa_acus) 2020年10月1日
上のツイートを見れば分かるように、思った以上に息の長い作品みたいです。Wikipediaによればドールメーカーのアゾンインターナショナルと、acusという上記ツイートをした尾花沢が主宰する創作集団が展開しているみたいですが、後者の公式Twitterは4年動いてないしリンクも切れてるので今はどうなってるのかよく分からないですね。
アニメーション制作はあのシャフトということでまた独特な演出がてんこ盛り……と思いきや、新房昭之も劇団イヌカレーも関わってないからか、本作ではいわゆるシャフトくさい演出はかなり抑えめ。監督の佐伯昭志は『めだかボックス』や『放課後のプレアデス』で監督を務めたほか、『ストライクウィッチーズ』1期2期で脚本や絵コンテを担当し、特にエイラーニャ回で高評価を得ててその筋では結構有名人みたいです(ただし、ぱっと調べた感じ3期は関わってないっぽい。来年の『ルミナスウィッチーズ』では監督をするそう)。本作でもシリーズ構成・脚本を担当してて、いわゆる脚本も書ける監督ってやつですね。
内容面については、1クールでやるにはちょっと設定も物語も詰め込みすぎかなというのが率直なところ。いろんなメディアでちょっとずつ違う物語展開になっているらしく、そうした前提知識がある人はまた違った印象を受けるかも知れませんが、一作のオリジナルアニメとしては物語の要素が多すぎて、やや散漫な印象を受けました。ちょっと思い返しただけでも、夢結と距離を詰めてシュッツエンゲルの契約を結び、レギオンの仲間を集めてチームとしてバトルしていくのかなと思ったら結梨が登場し、あっという間に退場し(ネタバレにつき反転)、今度は再燃した夢結の過去のトラウマを癒やし……と大忙しの1クールだったように思います。特に結梨の扱い方については首をひねらざるを得ない展開でした。彼女を通してリリィを取り巻くしがらみの描写を引き出したのは良かったと思いますが、その後の展開はやや唐突で、ストーリーの都合に合わせた動きに見え、説得力に欠けるように感じました。また、キャラクターによって描写の量にも大きな差がありました。梨璃と夢結が中心になるのは当然としても、他の一柳隊のメンバーは、レギオンに入るまでまるまる1話割いて焦点があてられるキャラたちもいれば、なんかいつの間にかしれっと加わってるキャラもいて、もうちょい掘り下げなくて良いのか?と思っちゃいました*2。そもそも純粋に名前ありのキャラがめちゃくちゃ多く、毎回毎回テロップで名前を教えてくれはするんですが、どれが覚えるべき重要なキャラでどれがそれほど重要でないのか判別がつかず、主要キャラを覚えるまで時間がかかってしまいました(公式サイトもキャラの情報少ないし……)。
あと個人的には、せっかくレギオンを組んだんだったら、OPみたいな集団戦を描いて欲しかった……。結局1人か2人が前線に立って戦うシーンが多く、チームを組んで戦っているという感じがあまりしませんでした。一応ノインヴェルト戦術がそれにあたるのかも知れませんが、あれはどっちかと言うと一人一人のキメカットを演出するためのもののような気がするし……。と、ここまで文句たらたらな感じで申し訳ないですが、キャラは可愛いし、戦闘はよく動くし、作画も安定しているしで十分面白いアニメだったと思います。特に太もものフェチフェチしいカットとか、8話のめちゃくちゃ気合い入った戦闘シーンとか見所もたくさんありました。また忙しいストーリー展開の中であっても、梨璃と出会って変化していく夢結の心情は非常に丁寧に描かれています。それだけに、色々惜しいところが目立ってしまったという感じです。1月にはアプリも配信されるようで、正直長続きするかどうかは微妙な気がしますが、アニメを見て興味を持った方はそちらもチェックしてみると良いかもしれません。
安達としまむら
童貞安達としまむら。
入間人間による電撃文庫のライトノベルが原作。この作者は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』のイメージが強いんですが*3、本作は至って平和(ホンマか?)な百合アニメ。ちなみに4話には作者の別シリーズ、『探偵・花咲太郎』シリーズの花咲太郎が声つきで登場してます。監督の桑原智とシリーズ構成の大知慶一郎をはじめ、多くのスタッフが『五等分の花嫁』から流れてきており、制作も同じ手塚プロダクション。ごとよめアニメは未視聴ながらお噂はかねがね聞き及んでいたので、一応覚悟して臨んだんですが、作画的にもなんとか及第点には届いていたんじゃないでしょうか。
一言で言うと、安達くんの悶えっぷりを眺めるアニメです。1話のクールさはどこへやら、しまむらの一挙手一投足に一喜一憂する安達を鑑賞するだけでも面白いアニメだと思います。ただ、原作が小説という媒体である関係上、モノローグが多めで絵的に派手なところも少ないので、退屈な人には退屈でしょう。が、個人的にはこのモノローグが結構好きで、やたら抽象的な言い回しで回りくどいんですけどそれが癖になる感じでした。ただ耳で聞くには言葉が滑ってしまいがちなのも事実ですが……。演出とかは工夫してはいるんだろうなぁとは思いましたが、急に裸になったり、謎のエフェクトがかかったり、有効だったかと言われるとうーん……*4。最初安達の視点からだとモブが黒塗りになってたのはなるほど~と感心したんですが、回によっては安達視点でも普通にモブが描かれていたり、しまむら視点でも(黒塗りまではいかないですが)暗めになってる時とかもあって、あんまり統一感がなかったのは残念でしたね。日野と永藤、ヤシロとしまむら妹といったサブキャラも、名前のあるモブという感が否めず、何を示したくて存在しているのかわかるよう、もう少し描写増やしても良かったのではないかと思います(日野永藤に関してはあだしまとの対比とサービスシーンてことで良いんでしょうか……)。
で、1クールかけて安達としまむらの関係性は進んだかと言われると、「進ん……だ……か?」みたいな感じで、劇的な何かが起こるわけではありません(樽見とかいう爆弾がぶっ込まれた時にはどうなるかと思いましたが)でしたが、最終回最後のしまむらのモノローグを聞くと、安達はもちろん、しまむらも少しずつ変化しているのかなと思ったり。エピソード一つ一つを見ていっても、ゆっくりでも着実に二人のつながりは強まっていますしね。安達と無自覚独占欲も大概ヤバいですが、しまむらもまだいくつも壁を作って踏み込ませようとしない雰囲気があり、どこか危うさもはらんでてそういう関係性もいいな~となりました。もし2期があったらもっと劇的な変化があるんでしょうか。
池袋ウエストゲートパーク
池袋への風評被害。
どうでも良いですが今期池袋が出てくるアニメ、これ以外にも少なくとも『ヒプノシスマイク』と『体操ザムライ』もあるので、今なら池袋に行くだけで今期アニメを3つも聖地巡礼できます(池袋の地理知らないんでよく分かりませんが)。
石田衣良による短編小説シリーズのテレビアニメ化で、2000年にはTOKIOの長瀬智也主演、宮藤官九郎脚本でテレビドラマ化されたそう。監督の越田知明は『続 刀剣乱舞-花丸-』『世話やきキツネの仙狐さん』、シリーズ構成の志茂文彦は『NEW GAME!』『ダンベル何キロ持てる?』『放課後ていぼう日誌』、キャラデザの谷口淳一郎は『多田くんは恋をしない』『イエスタデイをうたって』でそれぞれ同じ役職を務めていて、アニメーション制作の動画工房にゆかりのある布陣になってるみたいです。いわゆる萌えアニメの牙城として有名な動画工房ですが、春クールの『イエスタデイ~』に続いて、作風の幅を広げようとしてるのかな、と思ったり。絵の雰囲気もかなり『イエスタデイ~』に似てる気がします。
アニメ化の一報を聞いた時「なんで今?」と思いましたが、残念ながら全話視聴後もその疑問は解消されませんでした。そもそもの話として、本作をアニメーションとして描く意味が全く感じられません。YouTuberとか移民とか、現代ナイズされた話題も取り入れてはいましたが、そもそもカラーギャングというのがもう死語に近いくらい古くさいですし*5、特に何か成し遂げたとかずば抜けたカリスマ性の描写とかもないのに「池袋のキング(笑)」とか言われても……って感じです。それは主人公のマコトも同様で、誰も彼もがマコトさんマコトさんとすり寄ってくるんですが、何故皆がマコトを慕ってるのかもよくわかりませんでした。いや、確かに良い奴ではあるんですけど、それほど魅力的な人物には見えないんですよね……。というかこの人、本編で散々胸糞とか暴力とかの描写があったあとで、「池袋には良い奴ばっかり!良い街だ!」みたいな締めをちょいちょいするんですけど、「いやお前今まで何見てた?」と思わず突っ込みを入れてしまいます。また、シングルマザーとかヘイトスピーチとか、そういう社会問題に踏み込もうとする姿勢自体は評価するとしても、どうも展開とかオチが毎回個人的に合わないというか、美談くさくまとめようとしていても「それ、良い話か?」みたいな引っかかりを覚えることが多かったです。特に最後の抗争のエピソードはアクションの作画も頼りなく、展開も強引で雑に感じました。辛辣な評価になってしまいましたが、やはりアニメーションという媒体と(しかも1クールのTVアニメとして)こうした方向性の作品はあまりなじまないのではないかと思わざるを得ない作品でした。
いわかける! - Sport Climbing Girls -
トンチキ女子スポーツアニメ(褒めてる)。
Webコミックサイト「サイコミ」にて連載中の石坂リューダイによる漫画が原作。現在は第1章の『いわかける! -Climbing Girls-』に続けて第2章となる『いわかける!! -Try a new climbing-』が連載中。監督のアミノテツロは80年代から監督をやっている大ベテラン。アニメーション制作のBLADEは聞き覚えがないと思ったら中国系のアニメとかWebアニメとかをメインでやってたところみたいです。ゲーマーだった主人公がひょんなことからスポーツクライミングに挑戦し、才能を開花させていく物語。
何故かラストカット原画にやたらこだわりを持っているみたいで、EDクレジットでも担当した一人だけ青字で表記される優遇っぷり。その絵もやたらシュールで毎週笑ってました。それ以外にも「くるくるす~」をはじめとした異常に個性の強いサブキャラ連中とか、クライミングのときに謎の変身コスチューム(※イメージ)を着込む主人公などの変な演出とか、妙なところでインパクトを残してくれましたが、一方でストーリー自体は奇をてらわない王道の熱いスポ根もので、個人的には個性的なキャラが多い、主人公がめちゃんこ強いという共通点もあり『咲-Saki-』を想起しました。演出は前述のように「なんやこれ?」みたいなのも多いですが、そこも含めてシュールギャグとれないこともないし(毎週どっかで爆笑してた)、作画もハイクオリティとは言えませんが、十分及第点です。最初はエッチなスポーツものかと思ってたんですけど、そういういとの描写もほとんどなかったですし、熱いスポーツものが見たい人はチェックして損はないと思います。
炎炎ノ消防隊 弐ノ章
OPみたいなシーンは実は全然出てこないという詐欺。
前クールから引き続き視聴。クオリティの割にやっぱりあんまり話題になってなくてやや残念。終始非常に丁寧な作りのアニメだったと思います。アクションシーンの作画なんかはどこと比べても遜色ないレベルだし、ストーリー自体も結構面白いので、是非原作完結したら最後までやって欲しいです。伝導者一派のカロンとか灰島の黒野とかを見てると何となく「絶対的な悪」を出さないようにしてるのかなぁと思ったり。伝導者一派は明確な主人公の敵として描かれていますが、謎もまだまだ多いですし、聖陽教も怪しいところがありますしね。今後の展開が気になるところです。2期は完全に俺たたエンドでしたが、いつか続編が来ることを期待したいと思います。
おちこぼれフルーツタルト
検索しようとしたら後ろに「やばい」とサジェストされるきらら作品は後にも先にもこれくらいではないでしょうか。
「まんがタイムきららキャラット」にて連載中の浜弓場双による漫画が原作。作者は『ハナヤマタ』の人で、本作ではキャラの名前の頭をつなげると「いろは歌」になります。監督の川口敬一郎は今期『シャドウバース』『ひぐらしのなく頃に業』と掛け持ちしており、温度差で風邪を引かなかったか心配。キャラデザの木野下澄江は『ガーリッシュ ナンバー』『妹さえいればいい。』でもキャラデザを担当しており、言われてみれば全体的に丸っこい感じとかそれっぽい……?いや、よくわからないです、すみません。アニメーション制作は『アウトブレイク・カンパニー』『この美術部には問題がある!』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 』のfeel.。きらら作品の元請は『かなめも』以来11年ぶり。ここのアイドルものと言えば『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』が想起されますが、ライブシーンは当時より格段に進歩していたように感じました。
おしっこだのパンツだのなかなかのお下品なアニメで、なかなかパンチの効いたきららでした。トイレシーンの多さは全アニメの中でも屈指のものではないでしょうか。ほぼキャラ全員どっかぶっ飛んでて面白かったです。普段ツッコミ役のロコとか仁菜とかもちょいちょいヤバいんですよね。たまに挟まるまともなアイドルパートも(提出用とか言われてますけど)普通に良かったです。というか散々ネタにされてますけど東小金井の皆さんはホントに内容見てこのアニメで観光促進しようとしてるんですかね……?
神様になった日
無限リーチ東西南北ドラ隣ドラ隣途中まで通貫二色同順!!!!!!!
いろんな意味で今期最も大きな爪痕を残したであろう作品。本項は作品の重要なネタバレを含みます。未視聴の方はご注意下さい。
『Angel Beats!』『Charlotte』に続く脚本・麻枝准、アニメーション制作・P.A.WORKSの3作目。ちなみに本作の英題が「The Day I Became a God」なので順番に並べるとABCDになります。だからなんなんだ。監督は『Charlotte』に続き浅井義之が、キャラデザ・総作監はP.A.所属ではなく、フリーの仁井学が担当。
作画は全体を通して概ね良かったと思います。中盤息切れしていた感じはありましたが、まぁケチを付けるほどのものでもありません。鈴木少年が電子の海に潜ってクジラと戦うくだりは「なんだこれ」と思いましたが、演出もまぁ悪くなかった。問題はシナリオです。既に多くの人は評判をご存知だと思いますが、ネット上での評価は散々なものです。僕としてもどう贔屓目に見ても本作を高く評価することは難しく、何年も脚本を書いてきた人物の作品とは思えないというのが正直なところです。
問題点はいくつもありますが、まず一つはキャラクターについてです。最終盤に登場する施設の職員さんの突然の回想が好例で、大した積み重ねもないキャラの回想をあそこで唐突に挟まれても、共感することは難しい。メインキャラっぽいラーメン屋のお姉さんや麻雀おばさんも、登場回に見せ場は当然あるとしても、他の回で重要な役割を果たしたかと言われるとそんなことはなく、浮いたキャラになっています*6。というかそもそも、終盤を見れば明らかに描きたいのは陽太とひなの物語であるにも関わらず、陽太とひなの関係性が序盤で十分に描かれず、全く変化しない(もしくはしていたとしても印象に残らない)のが問題です。要はサブキャラを増やしすぎたためにそちらの紹介エピソードを時間を割かねばならず、ストーリーの焦点が最後まで定まりきらなかったのです。
2つめは細部の詰めの甘さです。これは設定面がわかりやすいでしょう。量子コンピューターやオリジナルな病を持ち込むのは全然良いのですが、これらの要素の、物語のための「道具」感が強すぎました。リアリティが薄いとも換言できますが、例えば鈴木少年の技術やひなの量子コンピューターを見ると現代の科学技術を遥かに凌駕していることを示唆していますが、それが日常の描写に全く還元されていません。この二人だけが謎のオーバーテクノロジー保持者になっているのです。鈴木少年まわりの設定は特になげっぱが多く、CEO周りのあれこれも謎めいた雰囲気を匂わせた割にはあっさりと物語からフェードアウトしてしまいました。これも本作を陽太とひなの物語をして見た際にはノイズとしての側面が強すぎる気がします。また、オリジナルの病気についても、やがて死に至る不治の病に侵されているというよりも幼児退行のような描写が強調されているように見え、設定と描写が釣り合っていない印象でした。また、陽太が思いを寄せていた伊座並さんから急にひなに乗り換えたように見える、突然大した覚悟もなく音信不通だったひなの実父に家凸するなど、ストーリーのために視聴者の納得させる努力に欠ける強引さは随所に見られました。
最後は、主人公のキャラクター性です。はっきり言って終盤の陽太は余りにもデリカシーに欠け、自分本位な考えが言葉の端々から読み取れて不愉快でした。序盤でも結果的には伊座並さんのためとはいえ、彼女をためらいなくだましていましたし、倫理観の怪しさはちらついていました。が、意志薄弱な状態であるにもかかわらず、ひなが頷いたら即行で彼女を自宅へ連れ帰ろうという考えには違和感しかありません。あと何度も何度も注意されてるのになんでデカい声ばっか出すんだ?頭空っぽか?
しかしながら、ストーリーの決着点自体は非常に面白いと思っています。例えばお偉い方と敵対してチップを取り返すだとか、奇跡の力でひなが健常な状態に回復するといった展開にせず、あの状態のひなと生きていくというオチは、より良い表現であれば感動することは難しくなかったでしょうし、個人的にも好ましいと思います。物語の大筋も、終盤連呼されていた「あの夏の思い出が云々」というのを聞くと、序盤の冗長な日常描写も一応の必然性があったのは察せますし、その思い出をきっかけにひなの回復を導くという展開自体に不自然さは感じられません。主題歌の歌詞を見ても、何となく「やりたかっただろうこと」は伝わってくる気がします(あくまで勝手に僕が受け取っているだけですが)。骨子は悪くなかったが、それ以外に致命的な欠点が多すぎたのだと思います。これほどの作品としての瑕疵の多さになると、当然ながらシナリオライター個人の責任ではなく、監督やプロデューサーら作品に責任を持つ他の人物にも責任はあるでしょう。
あと、ギャグの波長は割と合うようで、賛否両論の麻雀回なんかは腹抱えて笑ったので、今度は日常ギャグものに挑戦してほしいなぁと思ったり。
本作の論評については、以下のいくつかの記事も参考になるかと思います。
神達に拾われた男
「ヤサシイセカイ*7」の看板に偽りなし?
「小説家になろう」発のRoyによるライトノベルが原作。アニメーション制作は『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』で初元請制作を担当したMAHO FILM。今期は後述の『俺100』と合わせて2本やってます。監督の柳瀬雄之とキャラデザ・総作監の出口花穂は『うちの娘。』でもそれぞれ監督とキャラデザ(連名)をやっていました。ちなみにこのスタジオは『異世界はスマートフォンとともに。』のスタッフが立ち上げているので二人ともそっちにも参加しています。というか柳瀬は『いせスマ』でも監督です。あとシリーズ構成はみんな大好き筆安一幸。
くしゃみで死んだブラック企業勤めの主人公が、三柱の神の頼みで異世界に少年として転生、大量のスライムを操りつつ商売や冒険をこなしていく……というお話で、ストレスフリーな展開が特徴ですが、フリーすぎて虚無に感じることもしばしば。とにかく周りのキャラが主人公のあらゆる行動をめちゃくちゃに褒めるため、主人公と自分を簡単に同一視できれば、お手軽に自己肯定感を高めることができる……かも。そういった意味で一定の需要があるだろうことは理解できます。しかし、いくらスローライフものとは言え、展開の平坦さは否定しがたく、ほとんどのエピソードが、主人公が何かに挑戦する(ギルドの仕事を受ける、洗濯屋を開くなどなど)→それに伴ってちょっと登場人物が増える→挑戦に成功する→周りに褒められる、という一つのパターンを踏襲しているため、面白みに欠けるというのが率直な感想です。作画も十分見られるレベルではあるものの、戦闘シーンはカットが目立ちますし、3DCGの馬は不自然さの塊みたいな代物で、首をひねる部分もちょいちょいありました(その分、お嬢様のキメのシーンとかは力入ってましたが)。エピソード自体は心温まるものばかりなので、深く考えず作業用のBGMにでもして流すのがちょうど良いのかも知れません。
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
OPのスタッフロールが一回凍ってから消える演出好き。
それぞれ敵対する二国に所属する氷禍の魔女・アリスリーゼと最強の剣士・イスカが互いに対立しながらも惹かれ合っていくファンタジー作品。細音啓による富士見ファンタジア文庫のライトノベルが原作。アニメーション制作はSILVER LINK.で、ここが昨年作ったアニメを全部あげるとものすごい文字数になります*8。監督の湊未來と大沼心はシルリンではもうおなじみですかね。キャラデザの佐藤香織は『防振り』『はめフラ』などで作監を経た後、本作が初キャラデザっぽい。シリーズ構成の下山健人は『サーバント×サービス』とか『ナカノヒトゲノム【実況中】』とかでシリーズ構成もやってるんですが、戦隊ものとか仮面ライダーとか特撮の脚本も書いてる人みたいです。
まず、ラノベ作品によくあるややこしい世界観設定の説明でつまずいたことが敗因の一つかなぁと。『魔王学院の不適合者』はなんとなく雰囲気だけでも視聴できる勢いがありましたが、こちらはそれが難しく、今はどういう状況で、何と敵対しているのかというのを把握するだけでも一苦労でした。用語も多かったし。敵対するヒーローとヒロインのラブロマンスという題材自体は良かったですし、言動のことごとくが一致する主人公二人の様子は見ていてニヤニヤ楽しめました。一方で、主人公以外のサブキャラは個性も魅力も薄く、特にミスミス隊長は無能シーンが多すぎて、なんでこの人が隊長なんだ……と何度も思ってしまいました。戦闘はある程度動きますし、作画も悪くありませんが、終わり方も典型的な俺たたエンドですし、原作の販促アニメと言われても仕方がないという気がします。
くまクマ熊ベアー
くまをモチーフとした無双装備を手に入れた主人公が異世界でやりたい放題するお話。「小説家になろう」発のくまなのによるライトノベルが原作。原作イラストは『はたらく魔王さま!』で知られる029。確かに言われてみると目元のへんとか魔王さまのキャラっぽい?監督は今期『まえせつ!』と掛け持ちの信田ユウ。シリーズ構成は『みなみけ』『ガヴリールドロップアウト』『かくしごと』など日常系とかコメディ作品でよく名前を見かけるあおしまたかし。アニメーション制作は『恋愛暴君』『アサシンズプライド』などのEMTスクエアードで、キャラデザ・総作監の中野裕紀は同スタジオが直近に制作した『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』にて初キャラデザを担当し、続投したみたい。
本質的にやってることは『神達~』と大して差はないんじゃないかと思うんですが、こちらは可愛い女の子が主人公で話に多少メリハリがあったかなぁという印象。一応異世界転移ものなんですが*9、1話のシナリオのせいでゲーム世界に転生してしまったという勘違いが多発したんじゃないでしょうか。多分先に戦闘とか派手なシーンを1話に持ってくることで1話切りを防ぐ意図があったんでしょうが、これなら時系列順にやってくれた方が混乱も招かないですんだんじゃないかと思います。この手の作品に、異世界のくせにこちらの世界と文化が似すぎだという突っ込みはもはや野暮でしょう。ストーリーとか戦闘は基本的にくま装備のごり押しで、「こんな上手くいく?」と思うくらい挫折なく進んでいきますし、ところどころ粗も目立つのですが、人付き合いに消極的な主人公が少女との出会いをきっかけに少しずつ交友関係を広げていく、というキャラクター面での掘り下げをある程度丁寧に描くことで、物語に一定の深みを持たせることに成功していたと感じます。EDの「ここが守りたい大事な場所になったんだ」という歌詞、そして続く「ひとつ、ふたつ…増えていく」のところでユナの周りを囲むキャラが増えていくシーンが本作のテーマを端的に示していて、個人的にお気に入りです。特にキャラクターが増えたあと、最終回で最初に出会ったフィナとの関係性に再び焦点をあてるのは、最終回に相応しい構成でとても良かったと思います。2期も決まったようですが、ほぼほぼ可愛い女の子しか出ないですし、脳死で見る分には十分楽しめるアニメだと思います。
GREAT PRETENDER
前クールから引き続き視聴。Netflix作品だからか、ネイティブの声優用意して各国言語で喋ってるのが珍しくて印象的でした。国際色感じさせるのにはとても良い演出だったと思います。台本その他諸々の準備は大変そうですが……。シンシアのエピソードもローランのエピソードも悪くなかったんですが、不満点もいくつか。一番は主人公がずっとローランの掌の上で、ピエロっぽかったのがちょっと残念でした。最後で見返してローランをあっと言わせる流れかと思ったんですが、明快にそういう展開というわけでもなかったですし。あと最後らへんは視聴者をびっくりさせようびっくりさせようという意識が前に出すぎてリアリティの面とかがおざなりになってように感じます。孤島にそっくりビルを建てるとか今までだまされていた人たちが協力してくれるとか(ネタバレにつき反転)。とはいえ、引きの作り方とかは2クール通してすごく上手かったと思いますし、エンタメとしても十分面白い作品でした。シリアスもあるとはいえ基本的にコメディ色強めなので、割と誰でも見やすいんじゃないでしょうか。ネトフリに加入している方は見てみても良いかも知れません。
ゴールデンカムイ(第3期)
「週刊ヤングジャンプ」にて連載中の野田サトルによる漫画が原作。制作会社とともに監督・シリーズ構成・キャラデザなどなどほとんどのスタッフが続投。キロランケニシパに連れて行かれたアシリパさんを連れ戻しに杉元たちは樺太へ……というお話。
これまでは変人奇人見本市みたいな話が多かったですが(そしてもちろん今期もそういう側面はありますが)、今期はずっと出ていた第七師団の面々の過去が掘り下げられる回がどれも印象的で、尾形の回は闇というか歪みを感じましたし、月島軍曹には今までモブと思っててごめん……ってなりましたし、鶴見中尉の回はひっくり返りました。この作品、ギャグとシリアスの配分が巧みで、どっちかに寄りすぎることがないのがすごいなぁと思います。原作ストックがたまったら是非続きも作って欲しいです。
ご注文はうさぎですか? BLOOM
👺☕💃💃<「嘘です!」
「まんがタイムきららMAX」にて連載中のKoiによる漫画が原作。言わずと知れた人気作ですが、実は制作スタジオは移り変わりが激しく、3期はOVAで制作協力としてクレジットされたエンカレッジフィルムズ。直近だと昨年『異世界チート魔術師』をやってます。ただ、監督・シリーズ構成*10・キャラデザは変わっておらず、1期2期との雰囲気の違いは感じません。
日常ものって、マジで終わりのない日常を無限に繰り返してるサザエさん系の作品*11と、なんだかんだ時は流れててキャラもちょっとずつ変化していくタイプの作品があるんですが、本作は後者の作品なんだな、ということを強く実感させられたのが今期でした。チノ達の進路についてのエピソードなんかは割と直球でそうですし、チノは日頃の振る舞いもちょっとずつ積極的になっていたと思います。3期最後では町の外へ旅行に行くという一大決心をしました(チノちゃんの口ぶりだと壁外調査にでも行くのかというレベルの緊張感だった)。最終回サブタイトルの「その一歩は君を見ているから踏み出せる」、めちゃくちゃ良いですよね……。文化祭ではあんまりなかった気がするココアと千夜のコンビが活躍してて良かったし、ハロウィーン回はうるっときたし、リゼとリゼパパの回も良かった、生徒会長が云々の回も良かった。いや、公式サイトのストーリー見直してたんですけど今期良回多すぎでは?ギャグも良かったし、キャラ同士の絡みも見ていて癒やされ、安定感がありました。次が4期になるかOVAになるかわかりませんが、できればテレビシリーズでやってくれるとありがたく……いや、お金も大して落としてないので口を出せる立場にないですが……。
呪術廻戦
「週刊少年ジャンプ」にて連載中の芥見下々による漫画が原作。監督は『ゾンビランドサガ』OPの絵コンテを切った朴性厚(パク・ソンフ)、シリーズ構成は『デカダンス』の瀬古浩司、キャラデザはベテランの平松禎史*12。アニメーション制作はマッドハウスの流れを汲むMAPPA。今期は『体操ザムライ』と『進撃の巨人 The Final Season』もやってて、アニメーター死んでない?と心配になります。
めちゃくちゃやべぇ呪霊の指を飲んじゃった主人公が呪霊との戦いに巻き込まれていくお話で、世間的には今期で一番認知度が高い作品だったんじゃないかと思います。オサレOPも結構話題になってたような。あれのラストカット、1クール目最後まで見てそう言うことかぁ……となりました。ちょっとずつOPも変わってるんですよね。ストーリー作画演出声優どこをとっても文句を付けるところが見当たらないくらい単純に作品としてのクオリティが高いので、もうこれに関しては完全に好みに合う合わないなんじゃないかなぁと思います。特に戦闘、アクションの作画は他の有名作と比較してもトップクラスだと思います。現時点で僕の想像の10倍くらい話が暗いんですけど最近のジャンプってそういうのがトレンドなんでしょうか。少年漫画に疎いので全然わからん。2クール目も楽しみなんですが、あんまり胸糞な展開がないと良いなぁ……(絶対あるだろうけど)。
ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
「勇気はある、翼はどうだ」ってキャッチコピー、めちゃくちゃ好き。
これも制作会社がコロコロ変わってて、3期は『はたらく細胞』のdavid productionが制作。前クールから『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』もやってるとこですね。監督の高村和宏は続投しているものの、他のスタッフがちょこちょこ変わってます。
一応1期2期ブレイブは視聴済み(劇場版は未視聴)なものの、すごく好きというほどでもなかったんですが、いや、今期はめちゃくちゃ良かったですね、マジで。良かったところを細かくあげるとキリがないんですが、まず作画では戦闘シーンにおける3DCGと手描き作画のつなぎ目が非常にシームレスで違和感がないことに感動しました。作画の乱れもほとんど見られず、スタジオの地力の高さを伺わせる出来でした。ストーリーでは、旧来通りの王道を踏襲しつつ、敵ネウロイのパワーアップ、これまであまり描かれてこなかったウィッチ以外の軍人の活躍、各キャラの成長・掘り下げ*13などなど新しい要素もたくさんあり、マンネリ味を感じさせませんでした。本当に1話1話が非常に丁寧に組み立てられていて、もちろん最後には主人公たちが勝ちますし、主要キャラから死人が出るとかもないんですけど、そういう制約があっても面白いアニメは作れるんだ!と思わされました。
あと7話は今までで一番頭おかしかったと思います。
戦翼のシグルドリーヴァ
シリーズ構成・脚本を『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平、キャラクター原案をイラストレーターの藤真拓哉、世界観設定・設定考証を鈴木貴昭が担当。監督の徳田大貴は本作が初監督で、制作は A-1 Pictures。アニプレックスのオリジナルアニメってことで結構ガンガン広告打ってたんですが、蓋を開けてみると……って感じ。
ピラーという人類の敵と、オーディンに力を授けられ、「英霊機」に乗るワルキューレの少女たちとの戦いを描く作品。公式サイトを見たり、僕は見てないんですがおじさんコメンタリー(いわゆる副音声つきの配信)を見た人の言を見たりする限り、細かい設定があって奥行きのある世界観になっているようなんですが、アニメを見るだけではそういった魅力が伝わってこなかったのが大きな問題だったのではないかと思います。ストーリーで魅せるには面白みに欠け、熱さで魅せるには勢いに欠け、戦闘で魅せるには作画が今一歩足りず、個人的には「キャラクター全振りアニメ」として見ざるを得ない感じでした。キャラは十分立ってるし可愛いんですが、ストーリーとか演出では難点が目立っていました。特に7話のあるキャラの出撃シーンは死亡フラグ全載せ特盛りみたいな演出でさすがに……となりましたし、オーディンは騒ぐだけ騒いでいまいち何がしたかったのかよく分からないし、クラウはいっつも急に歌うし、複葉機から翼生えるのは単純にダサいし……。あとは既視感のある設定とか展開が多くオリジナリティに欠け、本作を特徴付ける魅力というものがなかなか見出しがたいと感じます。逆に良かったところもないわけではないです。例えば序盤で死んだモブをヒロインの一人がとても丁寧に看取るシーンがあり、コメントでも「アニメ史上最も手厚く看取られたモブ」とか言われてて、結構良いシーンだと思いました。が、結局最終回でのシールド隊の死があまりにも雑な処理で、何だったんだアレはという気分になりました(ネタバレにつき反転)。
あとこれは人によると思いますが、ギャグが合わなかったのも結構大きかったと思います。特にシールド隊。声優でふざけるのは別にいいんだけど、シリアスやりたいんだかギャグやりたいんだかよく分からず、結局どっちつかずになってしまっていた気がします。そう、入浴とか着替えとかのサービスシーンも結構唐突で、「お、テコ入れか?」とか思っちゃったので、やるならガチでシリアス一辺倒でやった方がまだ良かったかも知れません。前日譚を描いたラノベの方は割と評判良いので気が向いたらチェックするかも。
体操ザムライ
2002年、かつてサムライと呼ばれた主人公・荒垣城太郎だが最近は怪我もたたって成績不振が続き、ついにコーチから引退を勧められる。しかし引退会見で城太郎が放った言葉は……ってところから始まるオリジナルアニメ。アニメーション制作はMAPPAで、シリーズ構成の村越繁とキャラデザ・総作監の深川可純は『ゾンビランドサガ』でも同職を担当。監督の清水久敏も『ゾンサガ』で絵コンテ・演出をやられてます。
全体的に笑いあり涙ありって感じでとても良かったです。「せぬ」とか忍者とか喋る鳥とか、僕は結構好きなんですけど、そういうのがおふざけっぽく見えて受け付けない人もいるかも知れませんが、そうは言わずに視聴して欲しいところ。大筋の流れは城太郎の復活の物語なんですが、そこに玲ちゃんレオナルド鉄男が上手く絡んできて、非常に上手くまとまっていたと思います。特に玲ちゃんがめちゃくちゃ良い子なんですよね。亡くなったお母さんの代わりに体操選手の父を支えるんですが、大人っぽく見えてももちろん彼女はまだ小学生で……6話の自転車のくだりはかなり涙腺にくるものがありました。本作の本質は家族愛にあると言っても良いんじゃないかと思います。コーチとかキティちゃんとかサブキャラも良い奴が多かった。あとは2000年代初期の雰囲気も良かったですね。OPの上海ハニーとかはまんまそうですし、多分当時の映画ネタも多かったんですが僕は詳しくないのであんまり分からず……。挿入曲は著作権の関係からか配信版と放送判で違う回もあるみたいです。作画も乱れを感じさせず安定しており、特に体操のシーンはCGを巧みに活用することで、よく雰囲気を描写できていたと思います。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかlll
監督・シリーズ構成・キャラデザ以下スタッフは概ね2期から続投。
原作既読勢ですがマジで一番盛り上がるところなんで結構楽しみにしてました。出来としては及第点ではありますが、どうしても駆け足感というかスイスイ話が進んでいくので、物足りない感じは否めませんでした。が、アニメ勢でも今までで一番面白いって言ってる人もいたんでこれは僕がちょっと高望みしすぎなのかも知れません。まぁでもフェルズのあのシーンをアニメで見られたのは純粋に嬉しかったですし、終盤の一大決戦のところも期待以上によく動いていていたので、十分満足です。あとウィーネは動いて喋ると想像以上に可愛かったですね。原作絵だともうちょっとモンスターよりだった気がしたんですが。
D4DJ First Mix
ブシロードの展開するメディアミックス作品。10月末という変則的な時期から放送が始まりました。監督は『鋼の錬金術師』『機動戦士ガンダム00』の水島精二、ストーリー原案は『BanG Dream!』の原案も担当した小説家の中村航、シリーズ構成は萌え系アニメでよく名前を見かける雑破業。アニメーション制作は『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』『ブブキ・ブランキ』のサンジゲンで、おわかりの通り基本的に3DCGアニメとなっています。バトルものでもSFものでもない作品で3Dアニメってどうなんだろう……と思ってましたが(『BanG Dream!』は未視聴)、キャラの表情がめちゃくちゃ豊かで、主人公たちがわちゃわちゃ楽しそうにしてるのを見てるだけでこっちも楽しくなってくる良いアニメです。あとSEの頻度が異様に高く、そこも独特な雰囲気を出しています。見れば見るほどキャラクターへの愛着が湧いてくる良作でした。ただ、結局DJって何?と思わないでもない(小声)。明らかに2期を意識した引きだったので、是非期待したいところですね。
土下座で頼んでみた
断れよ
ふなつかずきの同人誌が単行本化され、テレビアニメ化まで果たしたという作品。ガチのAVにまでなっている。5分枠のショートアニメで、主人公(CV杉田智和)が土下座してパンツとかおっぱいとかを見せてもらうというちょっと何言ってるか分からないよっていう内容です。監督は『旦那が何を言っているかわからない件』の永居慎平。制作会社のアドネロはググっても全然情報が出てこなかったです。毎話設定・制作進行のスタッフクレジットで遊んでいて、7話だと「オドゲ座の怪人」、8話だと「スーパードゲザ人」って具合です。
個人的には突っ込みの天の声が邪魔に感じましたね。杉田劇場がやりたいんだったら杉田だけに任せちゃえば良いじゃん、と思ってしまいました。最終回は衝撃の展開で笑いましたが、それ以外は特筆すべき事もないですかね。富田美憂がまた家族を人質に取られてたくらい?
トニカクカワイイ
「週刊少年サンデー」にて連載中の畑健二郎による漫画が原作。監督の博史池畠とキャラデザの佐々木政勝は『群れなせ!シートン学園』のコンビ。シリーズ構成は『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』『キラッとプリ☆チャン』の兵頭一歩。アニメーション制作はSeven Arcsで、直近だと『アルテ』をやっています。
漫画も1話だけ読んだんですが、トラックに轢かれたのに可愛い女の子のところへ一直線に向かう主人公の異常っぷりにドン引きしてしまいリタイアしてしまいました。アニメでもその展開にはあんまし納得できなかったんですが、まぁそうしないと話が始まらないのでしょうがない。主眼が二人のイチャイチャ新婚生活にシフトしてからは普通に毎週楽しめました。ヒロインが実質司オンリーなので(結婚してるんだからそれはそう)、彼女のキャラが気に入らなければあんまり刺さらないとは思いますが、由緒正しいクーデレって感じで普通に可愛かったと思います。ちょいちょい挟まれる奥さんの出自の謎みたいな要素は当然アニメでは回収されないので全スルーで可。ちょっと気になったのはかなり絵が単純だったことですね。崩壊してるとかではないし、ラブコメで動きも少ないので咎めるような点でもないんですが、もうちょい、こう、ね?
NOBLESSE -ノブレス-
韓国からの刺客。
Jeho Son・原作、Kwangsu Lee・作画による韓国のWeb漫画が原作。最近だと『神之塔 -Tower of God-』『THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール』が韓国発のアニメでした。0話に当たるOVAを見ておかないと1話が訳分からなくなるので、是非見ることをおすすめします。アニメーション制作は今期『ハイキュー!! TO THE TOP』『憂国のモリアーティ』と掛け持ちのProduction I.G。総監督の多田俊介とシリーズ構成のハラダサヤカは『スタミュ』のコンビ。監督の山本靖貴は『侵略!?イカ娘』『サーバント×サービス 』『ネコぱら』の監督で、こういうシリアスなのは珍しい?ですかね。ちなみにキャラデザはOVAの海島千本(『ブラック・ブレット』)から石井明治(『テニスの王子様』)に交代しています。あとOVAに出てきたヒロインみたいな女の子は本編では煙のように消えてしまいます。M21とかレジスとかヒロイン枠いっぱいいるし問題ないね!
超常的な力を操る貴族やら改造人間やらが出てくるダークファンタジー……ですが、ギャグアニメとしても十分楽しめます。絵柄だけで女性向けと敬遠することはありません。割とストーリーはシリアスなんですが毎回どっかでおふざけが入る(というか主人公?のはずのライが無限にボケかましてくる)ので、結構良いテンポでられました。EDにもさりげなく登場してるラーメンくん、好き。設定自体は結構ありきたりな感じなんですが、ストーリーはしっかりしているので全体として上手くまとまっていた作品かなと思います。
ひぐらしのなく頃に 業
旧作のリメイク……と見せかけた完全新作。監督は『おちフル』で先述した川口敬一郎、キャラデザは「ぽよよん♥ろっく」こと『グリザイア』シリーズ、『物語』シリーズの渡辺明夫、シリーズ構成のハヤシナオキはゲーム『Kanon』のシナリオなどを担当したKey出身の久弥直樹の別名義だとか。アニメーション制作はこれまでのスタジオディーンから『ひなこのーと』『女子高生の無駄づかい』『異種族レビュアーズ』のパッショーネになっています。渡辺明夫のキャラデザ、OPのような不気味さと日常パートの可愛さを両立させてて好き。
正直解答編がないと評価は難しいですが、普通に毎週楽しみに見てました。K1の耐久力が高すぎて各編の最後らへんで毎回爆笑した。富竹の扱いとかK1があんまり地雷を踏まないとか結構前作から色々変えてきてて、解答編でどう回収されるのか期待したいと思います。
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rhyme Anima
キズナァ!!
キングレコードの展開する男性声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクトのテレビアニメ化。監督の小野勝巳とシリーズ構成の吉田伸は『遊☆戯☆王5D's』のコンビ。キャラデザは『黒執事』の芝美奈子。音楽は(K)NoW_NAMEのR・O・N。デュエルを中心に回ってるのが遊戯王世界だとすれば、ラップを中心に回ってるのがヒプマイ時空ですね。確かにノリはホビーアニメっぽい気がします。
3人×4グループで計12人プラスアルファの登場人物が出てくるんですが、これを全員1クールで覚えさせただけでも十分すごいアニメだと思います。いわゆるお当番回できちんとグループの雰囲気とかキャラとかを伝えられているので。ニコニコとかTwitterでも強盗がマイクで脅迫しているところとか、ラップしたら敵が爆発して吹っ飛ぶところとかがちらほら話題になっていましたが、まぁその通り深く考えずに楽しむアニメだと思います。ただ、ラップ自体はなんか早口言葉みたいであんまりかっこいいとは思えず。あと最終回、12人v.s.3人はさすがに卑怯じゃないか?いや確かに向こうも分身してたけどさ……。
100万の命の上に俺は立っている
「別冊少年マガジン」にて連載中の山川直輝原作、奈央晃徳作画による漫画が原作。監督の羽原久美子は『蒼穹のファフナー』の羽原信義の妻で、本作が初監督。シリーズ構成の吉岡たかをは割とジャンルを問わずいろんなところで名前を見かけるイメージ。アニメーション制作は『神達に~』と同じMAHO FILMで、キャラデザのうち舛舘俊秀は『いせスマ』『うちの娘。』でもキャラデザを担当しています。
1話をいらすとやで再現したワケあり版とかCパートで声優実写入れたりEDの宣伝してみたり、変なところでウケ狙ってむしろ失点を稼いでいたような印象。いや、失点とまでは言わずとも、それ、面白いと思ってやってる?みたいな気持ちになったのは確かです(エセプリキュアのくだりだけちょっと楽しんじゃったのは秘密)。ストーリーもキャラクターも現状魅力があまり感じられず、作画も微妙。世界観は結構気になる謎とかもあったりして面白そうなんですが、今のところそれが生きてくるお話になっていないので盛り上がりに欠けるのかなぁと思ったり。2期が決まっているようですが、原作は後半から面白いという話も聞いていますので、チェックはしてみようと思います。
まえせつ!
抱腹絶倒!
アニメーション制作はStudio五組とAXsiZで、この組み合わせは2018年の『ラーメン大好き小泉さん』『となりの吸血鬼さん』以来。監督は『くまクマ熊ベアー』の信田ユウ、シリーズ構成は『球詠』『いわかける! - Sport Climbing Girls -』の待田堂子、キャラ原案は『らき☆すた』の美水かがみ、キャラデザは『Angel Beats!』『ベン・トー』の平田雄三。ちなみに音楽は神前暁とMONACA。吉本興業が企画協力として参加しており、作中のネタを天津向が監修しています。
お笑いが題材だし、たくさん笑わせてくれるのだろうと思って見始めてたのがそもそもの間違いだったのような気がします。作品の本筋は駆け出し芸人の女の子達の成長物語なので、こちらの期待と最初上手く噛み合わなかったこともつまらないと感じた一因かも知れません。それにしたって、会話の一つ一つが退屈だし、時折挟まれる露骨な吉本興業アピールには鼻白みますし、他の芸人はまだしも、最後NON STYLEが拾ってくれるっていうのはちょっと有名なの出してとりあえず畳もうみたいな意図が透けてう~んとなりました。実在する先輩芸人二人はいろんな意味で難しい役どころだったと思いますが、棒とはいえ頑張ってたと思います。富田さんとか結構キャラ立ってたし、もうちょっとネタに尺割いてあげても良かったんじゃない?あとやたら大阪行ったり山梨行ったりしてすごい特産品とか観光名所のアピールしてたんですけどそっちもなんかマニーが動いてたんでしょうか。ただ、それぞれのキャラの成長というお話自体はそれなりにちゃんとしてましたし、主人公たちのネタも最後には若干(本当に若干)成長してるような気がしないでもなかったので*14、見切って良かったとは思います。
魔王城でおやすみ
囚われの姫(大本営発表)が安眠を求めて魔王城で好き勝手するコメディアニメ。「週刊少年サンデー」にて連載中の熊之股鍵次による漫画が原作。監督の山﨑みつえとシリーズ構成の中村能子は『多田くんは恋をしない』『ダンベル何キロ持てる?』のコンビ。キャラデザは『未確認で進行形』『NEW GAME!』『ダンベル~』の菊池愛。アニメーション制作は動画工房。ミュージカル調のOPが印象的で、話が進むにつれてどんどん新しい発見ができて楽しいです。ちなみにOPの絵コンテ・演出の添野恵は今期のもう一つの動画工房作品であるIWGPでもOP・EDを担当されてるみたい。
多分そこら中で1000万回くらい言われてると思いますが、この制限のキツそうな題材でネタ切れを起こしてないのがすごい。なんか途中から全然別のこと始めるとかでもなく基本的にずっと睡眠関係で話作ってるのもすごい。見てるとキャラみんなに愛着湧いてくるのも良いですよね。多種多様な魔族のキャラクターも魅力的で、新しいのが出てくるたびに「こいつはどんな奴なんだろう」とわくわくしながら見ることができました。タソガレみたいな実は優しい魔王キャラ、最近ちょいちょい見かける気がするんですが誰が発祥なんだろう。作画も結構ぬるぬるで、安定していたと思います。姫の目がまん丸になったり半円形になったりするとこ好き。
あとでびあくま1体で良いから欲しい。
魔女の旅々
そ う 、 私 で す
白石定規によるGAノベルのライトノベルが原作。2014年にAmazon Kindleで公開された自費出版小説が初出だそう。アニメーション制作は『はるかなレシーブ』『ひとりぼっちの○○生活』のC2Cで、監督の窪岡俊之とキャラデザの小田武士は同社の初元請作品である『はるかな~』のコンビ。シリーズ構成は筆安一幸で、この記事で一体何回登場するんだ。
シリアス回とバカ回の落差がデカくって、そこも魅力なんでしょうが、個人的にはシリアス回があまり刺さらず。シリアス回の場合、旅人である主人公がどういう心持ちで現地の人々と絡むか、起こった事件をどう受け止めるかが大事になってくるんですが、この主人公イレイナは(少なくとも端から見ている分には)結構グイグイ事件に首を突っ込む割になんか不幸が起こるとさっさと離脱してしまう感じで、割と最初の心証は良くなかったです。そもそもイレイナって結構露悪的であんまり本心を明らかにしない感じがあって、表面上は見たとおり単なるナルシストなんですけど、それ以上の深いキャラクター性が伝わってきにくかったかなぁと思います。特に3話なんかは、イレイナがやらかしたせいであの国とかあの男の子があんなことになった、と思われてもしょうがないような描写になってしまっているんじゃないでしょうか。あとまぁこういうタイプのシリアス系統には『キノの旅』という強すぎる先駆者がいるせいで、やや見劣りするように感じてしまったのも事実です。どの話もそれなりに面白いんですけど、もう一ひねり欲しい、と思ってしまいました。ただバカ回は振り切って馬鹿馬鹿しくって、面白かったです。途中で準レギュラーに昇格するサヤが強すぎるんですよね。最終回は笑わせにきながらも、綺麗にタイトル回収して、なかなか良かったと思います。作画も安定していましたが、ちょいちょい背景に比してキャラが浮いてるように見える時があったのがちょっと気になったかな。
魔法科高校の劣等生 来訪者編
世界一各話サブタイトルが無意味な作品。
作中世界を見てるとさすおにが人類の共通言語になる日も近そう。佐島勤による電撃文庫のライトノベルが原作。1期は2014年、劇場版は2017年なので3年ごとに新作アニメが出てる感じ。ちなみに原作は昨年9月に完結して、間髪入れず翌月に続編となる「メイジアン・カンパニー」が刊行されました。アニメーション制作は1期のマッドハウスから劇場版を担当したエイトビットにバトンタッチ。監督は劇場版の吉田りさこ。ただ、原作イラストの石田可奈がキャラデザ・総作監として引き続き関わっていることもあるのか、雰囲気の違いは感じられません。音楽の岩崎琢も1期から続投のため、トンチキ独特なBGMも健在。
相変わらず何やってるのかよく分かりませんが、結構面白かったと思います。個人的には可愛いキャラがあっさり退場してしまったのがショックでしたが……。最後まで見ても結局パラサイトの件解決してなくね?と思ったら原作勢によると今後は大体パラサイトと戦ってるとか。マジ?
今期はお兄様以外も同級生がちょいちょい活躍してて良かったですね。リーナはボコボコにされてましたが。というか深雪があんなにがっつり戦ったのって初めて?(1期全然覚えてないんで嘘かも知れません) キャラもちょっとずつ増えてきたし、せっかくなら続きもやって欲しいところですが、先にスピンオフ漫画のアニメ化が来ましたね。びっくり。
無能なナナ
ナナしゃん!
何書いてもネタバレっぽいので、未見で見ようと思ってる方は飛ばすことをおすすめします。
「月刊少年ガンガン」にて連載中のるーすぼーい・原作、古屋庵・作画による漫画が原作。監督は『ログ・ホライズン』『FAIRY TAIL』の石平信司、シリーズ構成は志茂文彦、キャラデザは同じく『FAIRY TAIL』の佐野聡彦。アニメーション制作はサンライズから独立したブリッジ。直近だと『遊☆戯☆王SEVENS』を作ってるそう。
最大瞬間風速のヤバいアニメでした。正直序盤中盤でだれるような所もあったし、ナナがちょいちょいガチの無能かますところもあったりしてう~んな点もありました。あと演出とかがちょいちょい古くさかったですね。なんかモノローグのときに本心をあらわすキャラが幽体離脱みたいにそのキャラの上に描かれたり(この表現で伝わる?)とか集中線の使い方とか。でも面白いところはガチのマジで面白いのでそこで全部ひっくり返してきた感じです。OPでニチャア……って笑ってる人が初登場する回とか、もちろん最終回とか。犬飼ミチル、お前がナンバーワンだ。さんざん最初は「ナナしゃんナナしゃん」言ってるだけのキャラだったのに、いつの間にかナナの心を動かし、ついでに僕の心まで動かすキャラになっていました。いや、最終回……。ここからナナがどういう道を行くのか気になるので、是非2期に来て欲しいところです。
憂国のモリアーティ
「ジャンプスクエア」にて連載中の竹内良輔・構成、三好輝・漫画の漫画が原作。『ジョーカー・ゲーム』『風が強く吹いている』の野村和也が監督を、『戦国BASARA』の大久保徹がキャラデザ・総作監を担当。シリーズ構成の雑破業はこういうシリアス系をやるのはちょっと珍しいかもしれません。アニメーション制作は『PSYCHO-PASS サイコパス』のProduction I.G。分割2クールで続きは4月からだそう。
これもキャラデザが女性向けっぽいってだけで見ないのはもったいない作品ですね。モリアーティ誕生のお話が結構面白くって、こういう背景のある人物でこういう思想を持って行動してるんだなってのがすっと理解できました。中盤のクライムコンサルタントパートは、悪辣貴族を陥れる展開が若干スカッとジャ〇ンくさくて*15こういう系の話ばっかりだったらちょっとな~と思ってたところにホームズ視点が入ってきて、そこからさらに面白くなりました。1クール目は両者の顔合わせみたいなものだったので、2クール目からどのように話が動いていくか期待したいと思います。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
アニメーション制作はサンライズのままですが、監督以下スタッフは過去作から一新されています。監督は『対魔導学園35試験小隊』『三ツ星カラーズ』の河村智之、シリーズ構成は『ゆるキャン△』『魔王学院の不適合者』の田中仁、キャラデザは『三ツ星カラーズ』『波よ聞いてくれ』の横田拓己。ちなみに横田は『シグルリ』でもキャラデザをされてるようです。
傑作だと思います。ラ!は無印とサの1期(2期はこれから見る)を見て、「僕はアニマスの方が好きかな~」とかのたまってたんですが、虹ヶ咲はそもそもこれまでのラ!と全然違っていて、ほぼ別物に近いので、そこら辺波長が合ったのかも知れません。キャラデザもこっちの方が好き(小声)。確かにお当番回が延々続く構成はだれるっちゃだれるし、最終回のライブシーンはちょっと止め絵多くね?と思ったし不満がゼロかと言ったらそんなことはないんです。ただ良いところが突き抜けて良かった。CGモデルを使用した固有結界ライブシーンは毎回圧巻でしたし、個別回も問題の提示→解決が丁寧に描かれていて、まさに「捨て回のない」アニメだったかと思います。特に好きなのは天王寺璃奈ちゃんの回。表情が上手く作れなくて代わりに絵を使うみたいなキャラはたまにいますけど、アイドルでそういうのって珍しい気がしますし、表情を作れないから作る練習をしよう、ではなく表情が伝わるボードを使おう!という発想が非常に本作らしくて好ましいかったです。あとは段ボール箱にこもる彼女を段ボールごと抱きしめる愛さんの暖かさ、本当に好き。それぞれやりたいこと、目指したい理想は違えど、互いを尊重し、思いやり、協力して活動に打ち込む姿がとても良かった。バラバラでもひとつ、というこれまでのラ!とは全く異なる斬新なテーマを見事に描ききった良作でした。あと曲が良い。全部良いけど特にED「NEO SKY, NEO MAP!」をまだ聞いてない人類とかもう地球上にいないですよね?ね?聞け。
本クールでは言ってしまえば触媒みたいな存在だった侑も、最後に自らの夢を見つけました。当然2期があるんですよね?待っています。
レヱル・ロマネスク
登場人物が全員オリキャラと知ってひっくり返った。
Loseのアダルトゲーム『まいてつ』を原作に、レイルロオドたちが自らの地元の特産品を生かしたアイデア商品を考えたり、なんかイチャイチャしたりするショートアニメ。総監督はショートアニメをよく手がけているひらさわひさよし、シリーズ構成はゲームのシナリオを担当する進行豹、脚本の元村洸一は検索しても情報が引っかからず。キャラデザ・総作監は『ロウきゅーぶ!』『天使の3P!』『八月のシンデレラナイン』の野口孝行。
まぁ5分しかないのでぼうっとしてたら一瞬で終わります。さすがにあの人数を覚えることはできず、正直「ぞなもし」って語尾の子しか覚えてないです。というか全員オリキャラって一体誰に向けたアニメだったんだ……?話もテンポがあまり良くなく面白いとは言いがたいですが、女の子が可愛いので全然見られなくはないです。あと結構な文章量を一瞬のアイキャッチとかで出してくるので読もうと思ったら一時停止必須。あと地味に主題歌が3曲もあってどれも結構良かったです。
以上、全34作、約2万7000字(多分URLとかもう含んでるから実際はもうちょい短いはず)の感想でした。ちなみに再放送だと『シドニアの騎士』がめちゃくちゃ面白かったです。完結映画も見に行こうと思います。色々書いてますが全部完走する程度には面白かったですし、今期は毎日面白いアニメがあって楽しいクールでした。冬アニメも面白そうなのが多いので楽しみにしたいと思います。もし気が向いたらスタッフの情報とか含めた1話見ての感想を書くかも知れません。
*1:「#09 THE SHINING」でやっと気づいた
*2:多分ここら辺が他媒体で補完されてるんでしょうが
*3:1巻で挫折した
*4:キメのシーンで上下か切れてシネコサイズになるのは『ダーリン・イン・ザ・フランキス』を思い出します
*5:実際のところは知りませんが
*6:まぁ麻雀おばさんには財布という役割があるっちゃありますが……
*8:『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』『魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』
*9:多分『オーバーロード』とかと同じ「ゲームとよく似た異世界に来ちゃった」パターン
*10:最近ではもう見かけない、ひらがなのふでやすかずゆきくん
*12:ただし、アニメと政治を切り離して考えたいのであれば、彼のTwitterを見ることはおすすめしない
*14:まさか最初ネタがおもんなかったのは伏線?
*15:船で殺人を犯した貴族はすごいエンターテイナーでめっちゃ笑わせてもらいましたが