あすはひのきになろう

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後宮の烏2/白川紺子(集英社オレンジ文庫)【感想】

 

2022年9月20日読了。

 

あらすじ

後宮の奥深く、〈烏妃(うひ)〉と呼ばれる妃が住んでいる。
その妃は、妃でありながら夜伽をすることのない、とくべつな妃だった。
後宮で生きながら帝のお渡りがなく、また、けして帝にひざまずくことのない特別な妃・烏妃。当代の烏妃として生きる寿雪は、先代の言いつけに背き、侍女を傍に置いたことに深く戸惑っていた。ある夜、後宮で起きた凄惨な事件は、寿雪が知る由もなかった驚愕の真実をもたらす、が--。烏妃をしばる烏漣娘娘とは何か? 烏漣娘娘がおそれる「梟」とは一体誰なのか?

出典:http://orangebunko.shueisha.co.jp/book/4086802252

 

 

感想

 引き続き短編連作形式ですが、今巻は烏漣娘娘に焦点があたり、その存在についての謎の一端が明かされます。先代の教えに背き周囲に人が増えつつある状況に心を癒やされながらも憂えている主人公。烏妃の周りに人が増えるとヤバいヤバいと要所要所でやたら不安を煽られており、帝の側近・衛青も何か不穏な予感を感じ取っている様子。それと同時に、以前やってきた依頼人をすげなく追い返したことを遠因に起こった事件を受け、烏妃としてどうあるべきなのか、みたいな問いも提示されたように感じます。

 短編一つ一つに飛び抜けた面白味はないものの、少しずつ帝との関わり方も変化していく寿雪と、烏妃・烏漣娘娘を巡る謎、人々の温かみが見出される一方で様々な不穏な要素が寿雪たちを取り巻く展開には惹かれるものがあります。どうも悲劇が待ち受けているような気がしてならないんですが、続きも読みたいと思います。