あすはひのきになろう

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処刑少女の生きる道(バージンロード)4 ―赤い悪夢―【感想】

 

 2020年9月3日読了。今回はネタバレ全開なので未読の方はご注意下さい。結論から言うとめちゃくちゃ面白かったです。

あらすじ

「メノウちゃんが死んじゃうくらいなら世界なんて滅んでもよくない?」
アカリとモモが消えた。信頼する後輩の裏切りに混乱するメノウは、教典から響くサハラの声に悩みつつも2人を追跡しはじめる。
その頃、アカリとモモは、衝突を繰り返しながらもメノウからの逃亡を続けていた。絶望的にウマが合わない2人による、異世界人×処刑人補佐の禁忌のタッグ。しかし、“メノウ第一主義”な2人がなぜか逃亡中に始めたのは、モモによるアカリ強化スパルタトレーニングで――?
交錯する異世界人、「第四」、そして第一身分。少女たちを待つのは希望か絶望か――。彼女が彼女を殺すための物語、赤に染まる第4巻!

出典:https://www.sbcr.jp/product/4815607135/

 

 

感想

 戦闘シーンは少なめですが、ストーリーはかなり動いた巻でした。1巻発売当時は『ダンまち』以来のGA文庫大賞受賞作として話題になりましたが、その名に恥じない面白さだと思います。これまで小出しにされてきたいろいろな情報の意味が明らかになり、世界観が一段と大きく動きました。メノウからアカリを引き離すことでメノウの死亡フラグを回避しようとした、というだけでなく裏で実はモモがアカリの人災化を狙ってた、とか、いろいろなキャラの思惑を絡ませながら話を動かしていくのが非常に上手いなぁと唸らされます。あと、サハラはあのままなんとなくなぁなぁでマスコット化するのかな~って思ってたんですが全然そんなこと無かった。また、終盤のこれまでの時間軸でメノウがアカリを殺さずに死んでいた理由が明らかになるくだりがすごく良かった(語彙力)。アカリに情が移って……というありがちな展開を裏切って、あくまでも「悪人である自分以外の人を助ける」というこれまでも示されてきたメノウ自身の行動原理に従って死んだ、というのは非常に納得できて、ストンと腑に落ちました*1。そしてそこからのラストのタイトル回収! タイトル回収であんなに興奮したのはかなり久しぶりの気がします。結局のところアカリが他者に利用される前に彼女を殺さなければいけない、というように原点回帰するのも展開が上手い。

 1巻の感想をTwitterでつぶやいたときも書いた気がしますが、下手に引き延ばそうとせず、この熱量を持ったまま最後まで走り抜けて欲しいと思います。

*1:むしろ今巻でアカリに情が移り始めているのはモモの方な気がする。