湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君/冬月いろり(電撃文庫)【感想】
2022年8月2日読了。
あらすじ
世界がほしい少女と最果て図書館館長、交錯する彼らの哀しく優しいお伽噺。
第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞作 シリーズ第2弾!
魔王を倒し、「めでたしめでたし」を迎えたはずの《最果ての図書館》の平和な日々……だが、事件は突如起こった。
館長・ウォレスは役目を終えたはずのケルベロスの間に、ふと悪寒を覚える。
そこには剣で身体を串刺しにされた謎の美女、ヒルデがいた。彼女は《地底湖の博物館》から、命からがら逃げてきたのだという。
《博物館》館長は、魔王により家族を喪い、心を病んだ少女マリーアンジュ。
「世界の何もかも、全部が欲しいの」
夢見心地に微笑む少女から、ヒルデを助け、館長として《図書館》を守るため、特殊魔法を会得したウォレスは《博物館》を巡る驚愕の真実を知ることに――。
どこか寂しくどこまでも優しい【誰にも語り継がれないお伽噺】、追憶と哀哭のシリーズ第二幕!出典:https://dengekibunko.jp/product/saihate/321812000875.html
感想
悲しい時はなくのも大事だよね(ネタバレにつき反転)、みたいな今巻の教訓が、いかにも御伽話らしい優しさの感じられるもので、とても良かったですね。優しいお話ですが、それだけじゃないというか、向き合うべきものもあるよね、みたいな作りになっているのが好感が持てます。
お話としては、最果て図書館が地下にある博物館とつながってしまい、そこの館長である少女が図書館を狙っていて……という感じ。館長から逃げてきたというヒルデは何者なのか、何故館長の少女は何もかもを欲しがるのか、といった謎を軸に話が進み、二人の過去話もなかなか読ませるもので、面白かったです。
前巻に引き続き、本の魔物を含むキャラたちの魅力や世界観の良さもあり、安定感がありましたが、次巻が最終刊らしい。まぁダラダラ続けるのに適した感じでもないし、丁度良い塩梅なのかな。