あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

俺の青春を生け贄に、彼女の前髪をオープン【感想】

 

 2020年10月7日読了。

あらすじ

超絶コミュ難美少女を更正させるには――生配信で素顔を晒せ!?

俺、桃山太郎のことが大好きな幼馴染みのサリュ。ハーフでオッドアイな完璧美少女なんだけど……「他人に目を見られるくらいなら死んだ方がましですぅ……」俺の青春を犠牲にしてでも超絶コミュ難を更正してやる!

 出典:https://fantasiabunko.jp/product/2017mopen/321610000729.html

 

第29回ファンタジア大賞金賞受賞時の選評がこちら(受賞時のタイトルは『伏せ札ばりに前髪オープン』)。

葵せきな
個人的な好みで言えば、今回の応募作の中で一番好きというレベルで面白かったです。ラブコメ・青春小説として秀逸な作品だと思います。特に無駄な要素がなく、二名のヒロインと主人公の葛藤や解決を描き切れているのは素晴らしいと思います。ですので、出来れば主人公はどちらを選ぶのか決断しても良かったかと思います。非常に今の学生に近い目線の小説で、私には書けない作品ですね。

石踏一榮
王道青春ものとして、かなり良い作品でした。ストーリー自体のオチはわかってしまうんですけど、キャラクターが生き生きとしていて、最後まで引っ張ってくれます。笑える文章を書けるというのは、ひとつの才能だと思います。パロディネタは面白かったのですが、話の根本に絡んでいるパロディもあるので、せめてストーリーの核心部分はオリジナリティを出せると良かったと思います。

ファンタジア文庫編集長
パロディ・メタが多く入っていますが、ヒロインの可愛さ、バカバカしい連中が集まったときの青春感が、「実際にあったんだろうな」という空気の中で描かれており、非常に同時代性を感じます。ファンタジア文庫の「冴えカノ」、「オタリア」とは異なる方向性の「ヒロインプロデュースもの」で、今回応募された中では、一番「ラブコメ」をしていた作品でした。

出典:https://www.fantasiataisho.com/contest/fantasia29th.php

 

 

感想

 どうでも良いですけどこの回で大賞取ってるのが『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』です。

 ヒロインは可愛いし、展開もありきたりとはいえ決して悪いわけではありません。パロネタが多めなのも好みは分かれるでしょうが、まぁ大体は拾えるし十分許容範囲内です。しかし、主人公が不愉快という致命的な一点をカバーできる魅力はありませんでした。いくらなんでも、ニコ生で実況しながら女子(しかも本名バレしてる)の部屋にアポなしで突撃したり、冗談交じりとはいえ下着を盗撮しようとしたりする主人公に好感を持つことは難しいです。一応コミュは同じ高校の学生しか通してないという設定みたいですが、そんなんなんの抑止力にもならんぞ。スクショあげられたら一発で一生ネットの晒し者やぞ。主人公のネットリテラシーゼロか?身も蓋もない批判なのであまりこう表現したくはないのですが、「なんでこんな男がモテてんの?」を地で行く主人公で、最後にちらっとヒロインが惚れてる理由みたいなのを口走るんですけどその程度では全然説得力がないなぁって感じでした*1。恐らくニコ生という名前を出し、妙にリアリティを持たせてしまったことで主人公たちの所業がより生々しく想像させられたこと、あとは炎上防止策みたいなフォローがほとんどなかったことが不快感に拍車をかけたのではないでしょうか。そういう点を気にしない人には楽しめるのかもしれませんが、僕には無理でした。3巻完結みたいですが続きを読むことはないと思います。

*1:というかそれ以外ほとんど惚れてる理由みたいな説明がなかったのもちょっとどうなのとは思う。それだけでは致命的な欠点とは思わないけれど。