あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

吸血鬼に天国はない(2)【感想】

 

2021年9月14日読了。

 

あらすじ

生き延びた先に待つのは、恋と地獄。そして姿を現す『吸血鬼狩り』。

「「ハッピーニューイヤー」」  
 降りしきる雪とともに訪れた新年。吸血鬼ルーミーを因縁と陰謀の中から救い出し、日常へと回帰したシーモア。騒々しい運び屋仕事の中で、二人はぎこちなくも幸福な日々を送っていた。
 だがそんな日常も長くは続かない。
 マフィアに追われ、逃げ込んできた双子のバーズアイ姉妹。人を傷つけないと誓ったことによって、徐々に迫り来るルーミーの飢えの限界。
 緩やかに、しかし確かに平穏の終わりが近づく中で、シーモアたちの前に姿を現す最悪の敵『吸血鬼狩り』。
 選び取った幸福の中で、シーモアは更なる決断を求められることになる。
 人と人ならざるものの恋物語、第二弾。

出典:https://dengekibunko.jp/product/vampire_heaven/321907000729.html

 

 

感想

 吸血鬼狩りのおっさんの変態感をはじめとするアクションとか派手なシーンに目を惹かれがちですが、生きるために人を殺さなければならないルーミーとどう向き合うか、という問いに対する懊悩と結論を出すまでの過程が丁寧で非常に良かったです。ルーミーと出会って「かっこよく」あろうとする主人公の姿はとても魅力的です。そして至った結論も歪ですごく面白かった。これ、『傷物語』の裏返しのようなお話ですよね。新登場した姉妹の関係性もですけど、本作に登場するキャラたちの関係性ってどれも結構歪んでて、でも魅力的なんですよね。人ならざる存在と関わろうとしている以上当然のことかもしれませんが。本編の内容を踏まえた次巻への引きも自然で良い。今後の展開も含めて非常に期待できるシリーズだと思いました。