あすはひのきになろう

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NO推理、NO探偵?【感想】

 

2021年9月24日読了。

 

あらすじ

メフィスト賞史上最大の問題作!!私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。決めた! 私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育てる! そのためには……ねえ。「推理ってべつにいらなくない――?」。

 

本格ミステリ界大激震――!!

法月綸太郎、微笑――。
第『53』回受賞作はメフィスト賞の『ジョーカー』だよね?

青柳碧人(『浜村渚の計算ノート』)、感嘆!
歴代すべてのメフィスト賞受賞者と、今後すべてのメフィスト賞受賞者に贈る傑作(僕、受賞してないけど)。

円居挽(「ルヴォワール」シリーズ)、憤然!
やりたい放題やんけ! 不覚にも面白いと思ってしまったけど……オレもこれやりたかった!

早坂吝(「らいち」シリーズ)、推薦!
昔のメフィスト賞では出し得なかった「最新」受賞作を見逃すな!

白井智之(『おやすみ人面瘡』)、愕然!
196ページを読むまでは舐めてました。本当にごめんなさい。

メフィスト賞史上最大の問題作!!

「絶賛」か「激怒」しかいらない。
これはすべてのミステリ読みへの挑戦状――。

私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。
けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。
決めた! 私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育て上げる! そのためには……ねえ。

「推理って、別にいらなくない――?」。

NO推理探偵VS.絶対予測不可能な真犯人、本格ミステリの未来を賭けた死闘の幕が上がる!

出典:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000213277

 

 

第53回メフィスト賞受賞作品。

 

感想

 問題作の看板に偽りなし。問題は、この惹句が主にマイナスの意味で機能してしまっていることでしょう。本作の短所は容易に挙げられる一方で、それを上回るほどの長所を見つけるのは難しいです。断っておくと、個人的には決して嫌いな作品ではありませんでした。が、めっちゃ好みかと言われるとそうではないし、恐らくめっちゃ好みだ、という人はごく少数なんだろうなぁと思ってしまう作品ではありました。助手が冗長な推理を拒否し、また探偵も推理が出来なくなったことで、「推理をしないミステリ」を目指していく、というアンチミステリ的な着想は面白かったんですが、メッタメタのメタテイストは確実に読み手を選びますし、探偵と助手の掛け合いも同じネタをしつこくしつこく擦っているところが多く、笑えるかと言われると微妙……。肝心のミステリの部分は、最終話を加味したとしても、謎としても謎解きとしても弱く、強い魅力に欠けます。ただ、ラストもラストの「絶対予測不可能な真犯人」は、メタであることを活かしていて面白かったですが。助手ちゃんはほぼ最終ページで本作のジャンルに思い当たるのですが、自分は途中からそれとして読んでいたので、いまいちオチになっている感じがしなかった。とはいえ、どうにも憎みきれない作品ではあったので、さらに文体とキャラ造形を練れば、次代の東川篤哉となることも夢じゃない……かも。