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魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6/甘岸久弥(MFブックス)【感想】

 

2022年11月9日読了。

 

あらすじ

友の命の危機――魔導具師としてダリヤはどう立ち向かう!?
貴族との取引も増え、ますます活躍の場を広げていく女性魔導具師のダリヤ。
そんな彼女のもとを、友人の美容師イルマの夫であるマルチェラが訪れる。イルマが多すぎる魔力を持つ子供をその身に宿したことで「魔力過多症」となり、命の危機にあるのだった。しかし、子供を諦めるという選択をかたくなに拒むイルマを見て、ダリヤは友人として、魔導具師として、必ず二人とも救うと決意する。
築いてきた人脈、魔導具師としての技術、すべてをもってイルマを助けるための魔導具制作に臨むダリヤ。しかし、一筋縄ではいかぬその魔導具制作には、“彼女と似た性質の魔力を持つ”魔導具師の協力が不可欠だった。彼女が思い当たった魔導具師とは――。
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、決別と進歩の第六弾、開幕!

出典:https://mfbooks.jp/product/dariya/322012000918.html

 

 

感想

 友人のイルマが出産に際し危険なので、魔導具を作って助けようというのが前半のお話。後半はいつも通り飯食ったり魔物が討伐されたり商会の人数が増えたり。そういえば魔剣ノルマが未達でしたね。

 イルマの危篤は、人命がかかっていることもあってこれまでにない緊張感があって良かったですね。それをおいても、今巻の見所は物語が始まるきっかけとなる婚約破棄した兄弟子・トビアスとの和解……というより彼との関係にけじめ?がついたことでしょう。一方的に婚約破棄してきた側なので、もっと悪役として描かれてもおかしくないのですが、二人はどこまでいっても兄弟子と妹弟子でしかなく、恋人関係にはなれなかったのだ、と示されます。最低な振る舞いだったことは変わりませんが、無理に異なる関係性に押し込めようとした結果の不和だったのだと思うと、トビアスを単純に切って捨てるのも違うよなぁ、と。「父も、トビアスも、自分も、方法を間違えてしまったけれど、それぞれ懸命だった。」(p.113)という一文に集約されるように思います。

 で、そんな二人を見て案の定ヴォルフくんは妬いてしまうわけですが、いつまでたっても煮え切らない態度の癖に一丁前に嫉妬してんじゃないよ、という気持ちにならないと言えば嘘になる。ダリヤの方の意識もちょっとずつ変わってきているような気がするし、そろそろ進展してくれてもええんやで……?

 そのダリヤにも商会長としての成長が見られたり、マルチェラの過去が掘り下げられるとともにスカルファロット家に仕える騎士になったりといった変化もあるなかで、番外編では父カルロの死が偶然ではなかったことが明かされます。カルロに接触してくる貴族と名前が出たカルミネは今後ダリヤの前に姿を現しそうですね。今のところ目立たないで欲しいという父の願いとは真逆の方向を突き進んでいますが、彼女を中心とする人々のつながりがきっと彼女自身を守ってくれるはず……。ともあれ、次巻の展開も楽しみです。