あすはひのきになろう

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衛くんと愛が重たい少女たち/鶴城東(ガガガ文庫)【感想】

 

2023年2月1日読了。

 

あらすじ

登場する女子、全員、愛が重たすぎ!
小さくて、細くて、色が白くて、気が弱くて…本当はもっと男っぽくなりたい僕・森崎衛。日曜の朝は必ず、姉の凛に女装させられて写真を撮られて「可愛い。愛してる」とか言われてSNSに投稿させられる。つらい。僕が想いを伝えられないうちに彼氏を作ってしまった幼馴染の瑞希。なのになぜか思わせぶりな目つきで僕に身体を寄せてくる。つらい。そんな僕の前に、従妹の京子がアイドルの仕事を突然やめて東京から帰ってきた。「つきあおう」って…何言い出すの??何のつもり??

人生がつらすぎる衛くんは、愛が重たすぎる少女たちに包囲されている!そして、その包囲網はものすごい速さで狭くなりつつある!!これは、愛が重たい少女たちによる仁義なき恋の戦いの物語。

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453083

 

 

感想

 『クラスメイトが使い魔になりまして』の作者ですね。1巻だけ読んだような記憶。

 美少女っぽいのが悩みの主人公が、姉やら従姉妹やら幼馴染やら、周囲の女性に振り回される……っていうあらすじなんだけど、振り回されようが尋常じゃない

 面白かったです。帯とかあらすじとかからは何か軽薄な雰囲気が感じられますが、ガチで愛が重たいです。特にお姉さんはDVに該当するような暴力振るうし、完全にライン越えてる感がある。メインヒロインっぽい元アイドルの従姉妹も、普通に考えたらそれなりにヤバいんだけど、他がヤバすぎるせいで相対的にまともに見えてくるの笑えるけど笑えない。幼馴染もどうせアレなんだろうな~と思ってたらやっぱり人の心を踏みにじるクズだったし、唯一まともっぽい娘も絶対なんかあるやろと思ってたら案の定の引きだったし、いやぁ大変だね!って感じ。

 お姉さんの普段めちゃくちゃキレやすいけど自分の都合が良い時には優しく振る舞うところとか、終盤の幼馴染と従姉妹の会話(口論)シーンとか、いちいち臨場感があるというか、情景が目に浮かぶ感覚があって、めちゃくちゃ読ませる。ちょいちょいあるお姉さんに隠れてコソコソする時なんか、主人公に引っ張られてこっちまでドキドキしました。

 それでいてしっかりラブコメになっているのがすごいですよね。ちゃんとコメディ成分もあるという。や、ほとんど元アイドル従姉妹の心情部分なんだけど、変則的なツンデレみたいになっているので、セルフ突っ込みだったり話し相手の「いや大好きやん!」的な突っ込みだったりでギャグに昇華されてるのが面白かったです。いや執着の仕方は大分怖いんですけどね……。そんなヒロインズをよそに(いやよそにではないんだけど)、主人公がなんか良い感じに学びを得て前向きに変わっていこうとしているのが救いなのかどうなのか……。いずれにせよ、続きが大変気になる作品でした。